こども医療費助成の内容は、お住まいの自治体によって大きく異なります。この記事は一般的な例をまとめたものです。対象年齢や自己負担は、お住まいの市区町村のページでご確認ください。

子どもにも医療保険は入っておいたほうがいいと言われたのですが、本当でしょうか。

正直に言うと、お子さん本人の医療保険は原則いりません。理由をお話ししますね。
- 子どもの医療保険をすすめられた人
- 学資保険に医療特約を付けるか迷う人
- 共済に入るべきか知りたい人
- 入院で実際いくらかかるか不安な人
お子さんの医療保険をすすめられて、迷っていませんか。
結論からお伝えすると、お子さん本人の医療保険は、原則として必要ありません。公的な制度が手厚いからです。
私は保険会社に約7年勤め、AFP(ファイナンシャルプランナー)として子育て世帯のご相談を受けてきました。いらない理由と、それでも備えたい費用を分けてお伝えします。読み終えるころには、迷いが晴れるはずです。
結論は原則いらない

まず理由からお伝えします。医療保険は、治療費が家計を壊すほど大きくなる人のための備えです。ところが日本の子どもには、負担を抑える公的な仕組みが3つも重なっています。この3つを知ると、民間の保険の出番が少ない理由が見えてきます。
こども医療費助成がある
いちばん大きいのが、自治体のこども医療費助成です。
こども家庭庁の調査では、全ての都道府県と市区町村が助成を実施していました。市区町村では、通院も入院も18歳年度末までを対象にしているところがもっとも多くなっています。
窓口での支払いが無料か、数百円で済む地域が多いということです。
未就学児は2割負担
そもそも公的医療保険の自己負担も、大人より軽く設定されています。
| 年齢 | 自己負担の割合 |
|---|---|
| 小学校入学前 | 2割 |
| 小学生から69歳 | 3割 |
この2割や3割の部分を、さらに自治体の助成が肩代わりしてくれる形です。
高額療養費も使える
大きな治療になった場合も、高額療養費が働きます。
1か月の自己負担に上限があるため、手術や長い入院でも青天井にはなりません。助成と高額療養費が重なると、窓口の負担はかなり小さくなります。
上限額のしくみは、高額療養費制度とは?2026年8月の引き上げと新しい年間上限にまとめています。
こども医療費助成のしくみ

ここで助成そのものを整理しておきましょう。全国どこでも実施されている一方、中身は自治体ごとにかなり違います。引っ越すと条件が変わることもあるため、自分の地域のルールを知っておくことが大切です。確認すべき3つの点をお伝えします。
対象年齢は自治体で違う
最初に見たいのが、何歳まで助成を受けられるかです。
18歳年度末までの自治体が多い一方で、中学生までのところもあります。通院と入院で対象年齢が違う地域もあるので、両方の確認が必要です。
住んでいる市区町村のホームページで、すぐに調べられます。
所得制限と一部自己負担
次に確認したいのが、条件と負担の有無です。
- 親の所得による制限があるか
- 1回あたりの自己負担が決められているか
- 窓口で無料になるか、あとから振り込まれるか
あとから振り込まれる方式だと、いったん窓口で立て替える必要があります。手続きの期限にも気をつけましょう。
引っ越しで条件が変わる
見落としやすいのが、転居したときです。
助成は自治体ごとの制度なので、引っ越すと条件が変わります。手厚い地域から薄い地域に移ると、負担が増えることもあります。
転勤の多いご家庭は、この点を頭の片隅に置いておくと安心です。
助成でカバーされない費用

ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分になります。助成されるのは、あくまで公的医療保険がきく治療費の部分だけです。実際に入院すると、それ以外のお金がしっかりかかります。ここを知らずに医療費はタダだと思っていると、あとで驚くことになります。
入院中の食事代
まず必ずかかるのが、入院中の食事代です。
一般の所得の方で1食550円かかります。2026年6月からの金額で、1日3食なら1,650円、10日の入院なら16,500円です。
自治体によっては助成の対象になりますが、外している地域も少なくありません。
差額ベッド代
次に大きいのが、個室などを使ったときの差額ベッド代です。
公的医療保険の対象外なので、助成もされず全額自己負担になります。金額は病院によって幅があり、1日数千円から数万円です。
小さいお子さんだと、付き添いのために個室を選ばざるを得ないこともあります。
付き添いの費用と交通費
見落とされがちなのが、付き添う親のほうの出費です。
親の食事代や簡易ベッド代は、助成の対象になりません。毎日の交通費や、きょうだいを預ける費用も積み上がります。
仕事を休めば収入も減るので、家計への影響は治療費より大きくなりがちです。
それでも入る意味があるケース

原則いらないとお伝えしましたが、例外もあります。助成でカバーされない部分が大きくなりそうなご家庭や、将来の加入に不安がある場合です。当てはまるかどうかで判断が変わるので、3つ挙げておきます。
個室を使う可能性が高い
付き添いのために個室を選ぶ前提なら、備えの意味が出てきます。
入院給付金は1日いくらという形で出るため、差額ベッド代に充てられるからです。窓口負担がゼロでも、給付金は受け取れます。
実費の補填ではなく、定額で支払われる保険だからです。
親が仕事を休むとき
付き添い入院で仕事を休むと、収入が減ります。
自営業やフリーランスのご家庭は、傷病手当金のような支えもありません。給付金が生活費の穴埋めになることはあります。
ただし、そのために毎月保険料を払い続ける価値があるかは別の話です。
持病があって将来が心配
将来の加入を心配される方もいます。
持病があると、大人になってから保険に入りにくくなることがあるためです。健康なうちに終身タイプに入っておく、という考え方は成り立ちます。
その場合も、保険料を親が何十年も払い続ける前提になる点は押さえておきましょう。
入るなら何を選ぶか

備えることにした場合、何を選ぶかで負担が大きく変わります。子どもの保障には、単体の医療保険より向いている選択肢があるのです。逆に、勧められがちだけれど相性のよくない組み合わせもあります。順番に見ていきましょう。
こども共済は月1,000円から
まず候補になるのが、都道府県民共済のこども型です。
月1,000円または2,000円で、入院とケガの通院、個人賠償までまとまっています。掛金が戻る割戻金があるのも特徴です。
共済の考え方は、県民共済だけで大丈夫?足りない人の3条件にまとめています。
学資保険の医療特約は慎重に
すすめられやすいのが、学資保険に付ける医療特約です。
特約の保険料は掛け捨てなので、返戻率が下がります。教育資金を貯める目的とは、方向が逆になってしまいます。
貯めることと備えることは、分けて考えるほうがすっきりします。
個人賠償は火災保険のほうが手厚い
子どもの備えで本当に大事なのは、実は賠償のほうです。
| 付け方 | 1事故あたりの限度 |
|---|---|
| こども共済の賠償 | 1型は100万円、2型は200万円 |
| 火災保険の個人賠償特約 | 1億円や無制限の設定が一般的 |
自転車事故では数千万円の賠償が命じられた例もあります。くわしくは自転車保険は入らなくていい?火災保険の個人賠償責任で足りるかをご覧ください。
医療保険より先に考えたいこと

最後に、優先順位の話をさせてください。子育て世帯で本当に困るのは、お子さんが入院したときではありません。収入を支えている親に何かあったときです。限られた保険料は、こちらに回すほうが効きます。
親の死亡保障
いちばん先に整えたいのが、親に万一があったときの備えです。
お子さんが独立するまでの生活費と教育費が必要になるからです。子どもの医療保険よりも、こちらが先です。
必要な額の考え方は、収入保障保険の記事でくわしく扱っています。
親が働けなくなったとき
次に考えたいのが、長く働けなくなったときです。
会社員なら傷病手当金がありますが、期間にも金額にも限りがあります。住宅ローンがあるご家庭は、影響が大きくなりがちです。
働けない期間が長引くほど、家計へのダメージは深くなります。
教育資金の準備
そして、ほぼ確実にやってくる出費が教育費です。
入院はするかどうかわかりませんが、進学のお金は必ずかかります。保険料に回す前に、まず貯める仕組みを作りましょう。
貯め方の比較は、学資保険 vs NISA徹底比較にまとめています。
子どもの医療保険のよくある質問

相談の現場でよく聞かれることをまとめました。気になる項目から確認してみてください。
助成があっても給付金はもらえるか
もらえます。入院給付金は実費の補填ではなく、1日いくらという定額の支払いだからです。窓口負担がゼロでも請求できます。
共済と医療保険はどちらがよいか
子どものうちは共済のほうが手軽です。月1,000円台で入院と賠償までまとまるので、単体の医療保険を足す必要性は低くなります。
何歳から備えるとよいか
助成が切れる年齢が目安になります。18歳年度末で終わる自治体なら、そのタイミングで見直すと無駄がありません。
すでに入っている保険はやめるべきか
解約する前に、保障の中身を確かめましょう。賠償や死亡保障が付いている場合は、その部分だけ別で手当てしてからにすると安心です。
きょうだい全員に必要か
賠償の備えは、家族全員が対象になる火災保険の特約でまとめられます。ひとつ付ければ足りるので、人数分の契約はいりません。
まとめ

子どもの備えは、公的制度を土台に考えると迷いません。要点を振り返ります。
- 子ども本人の医療保険は原則いらない
- 全市区町村でこども医療費助成がある
- 食事代と差額ベッド代は助成の対象外
- 付き添う親の出費のほうが大きい
- 備えるなら共済が手軽
- 賠償は火災保険の特約が手厚い
まずはお住まいの自治体の助成内容を調べてみてください。そのうえで足りない部分だけを補えば、保険料はぐっと軽くなります。

