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【2026年分】医療費控除と保険金|引きすぎて損しない差し引きのルール

医療費控除で保険金をどこまで差し引くかを解説するアイキャッチ画像 保険について

税額の計算は、収入や家族構成によって変わります。この記事は一般的な例をまとめたものです。個別の判断は、税務署や税理士にご確認ください。

入院給付金をもらったので、医療費控除はもう使えないですよね。

そう思って申告をやめる方が多いのですが、引きすぎている可能性がありますよ。

こんな方に向けた記事です
  • 今年入院や手術をした人
  • 給付金や高額療養費を受け取った人
  • 出産で費用がかかった人
  • 医療費控除を使えるか迷っている人

医療費控除の計算で、受け取った保険金を全部まとめて引いていませんか。

実は、保険金はその給付の目的になった医療費からしか差し引きません。まとめて引くと、戻るはずのお金を取りこぼします。

私は保険会社に約7年勤め、AFP(ファイナンシャルプランナー)として家計のご相談を受けてきました。給付金を受け取った年の正しい計算を、具体例で整理します。読み終えるころには、自分が申告できるかどうかがわかるはずです。

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医療費控除のしくみ

医療費控除は10万円を超えた分が対象で家族の分を合算できることを示すバナー画像

まずは制度の基本からです。1年間に払った医療費が一定額を超えると、その分だけ課税される所得が減ります。結果として、所得税と住民税が軽くなるしくみです。会社員の方でも、年末調整では処理できず確定申告が必要になります。

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10万円を超えた分が対象

目安になるのが10万円という数字です。

1年間に払った医療費から保険金などを引き、そこからさらに10万円を引いた額が控除になります。ただし総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなく総所得金額等の5%です。

パート収入が少ない方などは、10万円に届かなくても使えることがあります。

控除額の計算式と上限

式にすると、次のとおりです。

項目内容
計算式1年間の医療費 - 保険金などで補填される金額 - 10万円
10万円の例外総所得金額等が200万円未満なら総所得金額等の5%
控除の上限200万円
医療費控除の計算式(国税庁 No.1120をもとに作成)

控除額がそのまま戻るわけではなく、税率をかけた分が軽くなります。

家族の分をまとめられる

意外と知られていないのが、家族分を合算できることです。

生計を一にしていれば、配偶者や子ども、仕送りをしている親の医療費もまとめられます。別居していても、生活費を送っているなら対象です。

ひとりでは10万円に届かなくても、家族分を足すと超えることがあります。

保険金の差し引きは全部ではない

保険金はその給付の目的になった医療費からだけ差し引くことを示すバナー画像

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。受け取った給付金を、その年の医療費の合計からまとめて引いている方がとても多くいます。ところが国のルールでは、引く相手が決まっているのです。この差で、控除額が何万円も変わることがあります。

目的になった医療費からだけ引く

保険金は、その給付の目的になった医療費からだけ差し引きます。

入院給付金なら、その入院にかかった医療費が相手です。歯の治療費や家族の通院費からは引きません。

同じ年の医療費でも、ひとまとめにしない点がポイントになります。

引ききれなくてもほかからは引かない

給付金のほうが医療費より多いこともあります。

引ききれなかった分は、ほかの医療費から差し引く必要はありません。その入院の分をゼロにして、そこで終わりです。

入院日額が手厚い方ほど、この扱いを知っているかで差がつきます。

具体例で計算してみる

数字で見たほうが早いので、よくある例で比べてみましょう。

その年の内訳金額
入院と手術の自己負担20万円
受け取った入院給付金30万円
歯の治療費15万円
家族の通院費5万円
計算の前提になる1年間の内訳
計算のしかた控除額
まとめて引く間違った計算
40万円 - 30万円 - 10万円
0円
正しい計算
入院分は0円、歯と通院で20万円 - 10万円
10万円
同じ条件でも控除額は10万円ちがう

所得税と住民税を合わせると、約2万円の差になります。申告をあきらめる前に、内訳ごとに計算し直してみてください。

差し引くお金と差し引かないお金

高額療養費は差し引き傷病手当金は差し引かないことを示すバナー画像

次に整理したいのが、そもそも差し引く対象かどうかです。受け取ったお金がすべて対象になるわけではありません。医療費を補填する性格かどうかで線が引かれています。ここを取り違えると、控除額が小さくなってしまうので注意が必要です。

差し引く必要があるお金

治療費そのものを補うお金は、差し引きます。

  • 医療保険の入院給付金や手術給付金
  • 高額療養費や家族療養費
  • 出産育児一時金
  • 会社の健康保険組合からの付加給付

高額療養費の考え方は、高額療養費制度とは?2026年8月の引き上げと新しい年間上限にまとめています。出産まわりの給付は出産でもらえるお金3つをご覧ください。

差し引かなくていいお金

一方で、働けない期間の生活を支えるお金は対象外です。

傷病手当金と出産手当金は、差し引く必要がありません。医療費を補うお金ではなく、休んだ分の収入を補うものだからです。

死亡保険金や、障害が残ったときの保険金も同じ扱いになります。

見舞金や補償金の扱い

判断に迷いやすいのが、見舞金やお詫びのお金です。

会社から受け取る一般的な見舞金は、医療費を補うものではないとされています。一方で、事故の相手から治療費として受け取った賠償金は差し引きます。

名目ではなく、治療費のために払われたかどうかで判断しましょう。

給付金の振込が翌年になったとき

給付金の額が確定しないときは見込額で申告することを示すバナー画像

年末に入院すると起きやすいのが、年をまたぐケースです。治療費を払ったのは12月なのに、給付金が振り込まれたのは翌年1月。このとき、どちらの年で計算するのか迷います。結論は決まっているので、落ち着いて処理しましょう。

医療費は支払った年で判断する

医療費控除は、その年に実際に払った分が対象です。

治療を受けた日ではなく、お金を払った日で区切ります。年末に受診して支払いが翌年になったなら、翌年分になります。

クレジットカードで払った場合は、決済した日が基準です。

金額が決まっていないときは見込額

給付金の金額が申告までに確定しないこともあります。

その場合は見込額で計算して申告します。医療費を払った年のほうから差し引く、という考え方です。

高額療養費を申請中のときも、同じように見込みで進めます。

あとで違っていたときの直し方

見込みと実際の金額がずれることもあるでしょう。

受け取った額が多かったときは修正申告、少なかったときは更正の請求という手続きで直します。どちらも税務署で案内してもらえます。

給付金の請求そのものの流れは、保険金・給付金の請求ガイド|必要書類と診断書代で損しない方法をご覧ください。

対象になる費用とならない費用

通院の交通費は対象で人間ドックや予防接種は対象外であることを示すバナー画像

集計の前に、何が医療費にあたるのかを押さえておきましょう。病院の窓口で払ったお金だけが対象と思われがちですが、実際はもう少し広い範囲です。逆に、医療っぽく見えても対象外のものがあります。取りこぼしと入れすぎの両方を防げます。

通院の交通費は対象になる

見落としが多いのが、病院までの交通費です。

電車やバスの運賃は対象になり、領収書がなくても記録があれば大丈夫です。付き添いが必要な小さいお子さんの通院なら、付き添う人の分も含められます。

自家用車のガソリン代や駐車場代は、対象になりません。

市販薬とセルフメディケーション税制

治療のために買った市販薬は、医療費控除に入れられます。

別に、特定の市販薬の購入額が1万2,000円を超えると使えるセルフメディケーション税制もあります。どちらか一方しか選べません。

健診や予防接種を受けていることが条件で、控除額の上限は8万8,000円です。

対象外になりやすいもの

入れてしまいがちな費用も知っておきましょう。

  • 健康診断や人間ドックの費用
  • 予防接種の費用
  • 美容目的の施術や健康維持のためのサプリ
  • 自己都合で使った差額ベッド代

ただし健診で病気が見つかり、そのまま治療に入った場合は対象になります。

申告のやり方

医療費控除の明細書と医療費通知を使った申告の手順を示すバナー画像

最後に手続きです。むずかしそうに見えますが、やることは集計と書類の提出だけです。会社員の方は年末調整では処理できないため、自分で確定申告をします。還付を受けるだけなら、時期も急ぐ必要がありません。

医療費控除の明細書を作る

申告に必要なのは、医療費控除の明細書という1枚の書類です。

かかった人ごと、病院ごとに金額をまとめて書きます。補填される保険金の欄もあるので、内訳ごとに分けて記入しましょう。

領収書の提出は不要になりましたが、5年間は自宅で保管しておきます。

医療費通知があれば記入を省ける

健康保険から届く医療費通知を使うと、作業が一気に楽になります。

通知に載っている分は、明細を1件ずつ書かずに済むからです。マイナポータルと連携させると、申告の画面に自動で取り込めます。

通知に載らない市販薬や交通費だけ、自分で足していきましょう。

5年前までさかのぼれる

申告を忘れていた年があっても、あきらめる必要はありません。

還付の申告は5年前までさかのぼれます。出産や入院があった年の領収書が残っていれば、今からでも間に合います。

還付だけなら1月から受け付けてもらえるので、混雑する時期を避けられます。

医療費控除のよくある質問

医療費控除に関するよくある質問をまとめたバナー画像

相談の現場でよく聞かれることをまとめました。気になる項目から確認してみてください。

共働きはどちらで申告するとよいか

基本は収入が多いほうにまとめると、戻る金額が大きくなります。税率が高いほど効果が出るためです。

10万円に届かないと使えないか

総所得金額等が200万円未満なら、その5%を超えた分から使えます。たとえば総所得が150万円なら、7万5,000円を超えた分が対象です。

保険金は非課税なのに引くのはなぜか

医療費控除は、実際に自分が負担した分を軽くする制度だからです。補填された部分は負担していない、という考え方になります。

領収書は提出するのか

提出は不要で、明細書だけを出します。ただし5年間の保管義務があり、求められたら提示します。

入院給付金が出るか分からないときは

先に請求の可否を確かめておくと計算が楽になります。判断の基準はその入院、保険は出る?入院給付金の2つの条件にまとめました。

まとめ

領収書を内訳ごとに分けて計算することをすすめるバナー画像

給付金を受け取った年ほど、計算のしかたで差がつきます。要点を振り返ります。

この記事のまとめ
  • 保険金は目的になった医療費からだけ引く
  • 引ききれなくてもほかからは引かない
  • 傷病手当金と出産手当金は引かなくてよい
  • 高額療養費と出産育児一時金は引く
  • 金額が未確定なら見込額で申告する
  • 還付の申告は5年前までさかのぼれる

年末調整で使える生命保険料控除とは別の制度なので、あわせて年末調整の生命保険料控除の書き方|新旧制度と6万円の特例もご覧ください。

まずは今年の領収書を内訳ごとに分けてみてください。入院が多かった年は、保障が家計に合っているかを見直す機会にもなります。

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