この記事は一般的な三大疾病の保障をもとにまとめています。支払いの条件は商品によって大きく異なります。ご自身の契約については、約款と保険会社にご確認ください。

三大疾病に入っているので、脳梗塞なら一時金が出ますよね。

そこが一番の誤解です。病名が付いただけでは出ない商品があります。
- がんと他の2つで条件が違う理由
- 60日という条件の中身
- 回復が早いと出ないことがある話
- 自分の証券で確かめる場所
三大疾病の保障は、名前だけを見ると3つが横並びに思えます。
ところが支払いの条件は、がんと残りの2つでまったく違います。ここを知らずに加入している方がとても多いです。
私は保険会社に約7年勤め、AFP(ファイナンシャルプランナー)として相談を受けてきました。約款の条件を分けてお伝えします。
がんと他の2つで条件がまったく違う

まず全体像です。3つがひとくくりになっているのは、商品名のうえだけです。
3つまとめて同じ条件ではない
三大疾病とは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3つを指します。
この3つは、約款の中で別々の条文として書かれています。同じ一時金でも、支払いの入り口が3つに分かれているのです。
がんだけが診断で出る
がんは、医師に診断確定された時点で請求できます。
入院したかどうかも、手術をしたかどうかも関係ありません。
残る2つには60日という条件
急性心筋梗塞と脳卒中には、所定の状態が60日続くという条件が付くのが伝統的な形です。
病名が付いただけでは足りないということです。ここが相談の現場で一番驚かれるところです。
| 病気 | 伝統的な支払条件 |
|---|---|
| がん | 医師に診断確定されたとき |
| 急性心筋梗塞 | 労働の制限が60日以上続いたとき |
| 脳卒中 | 神経学的な後遺症が60日以上続いたとき |
がんは診断確定で請求できる

3つのうち、一番わかりやすいのががんです。注意点だけ押さえておきましょう。
診断された時点で請求できる
病理検査の結果が出て、医師ががんと診断確定した日が基準になります。
治療が始まる前でも請求できるため、お金の面では助かる仕組みです。
加入から90日は出ない
がんの保障には、加入してから90日間の待機期間があるのが一般的です。
この期間に診断されると、一時金は支払われません。契約そのものが無効になる商品もあります。
上皮内新生物は減ることがある
がんと診断されても、上皮内新生物だと金額が下がる商品もあるので注意しましょう。
100万円のはずが10万円だった、という例もあります。くわしくはがん保険で給付金が減る2つのケースをご覧ください。
心筋梗塞は労働の制限が60日続くこと

ここからが本題です。言葉が難しいので、ひとつずつ分けて見ていきます。
労働の制限とは何か
約款では、次のように定義されていることが多くあります。
軽い家事等の軽労働や事務等の座業はできるが、それ以上の活動では制限を必要とする状態
つまり、机に向かう仕事ならできるけれど、それ以上は無理という状態です。
診断書にこの記載が必要
支払いの判断は、診断書にこの状態が60日続いたと書かれているかで決まります。
本人の実感ではなく、医師の記載が基準です。請求する前に、診断書の様式を保険会社から取り寄せましょう。
狭心症は対象にならない
対象になるのは急性心筋梗塞です。狭心症は含まれません。
ステントを入れる治療は同じでも、病名が違えば結論も変わります。狭心症のときに何が請求できるかは狭心症でステントを入れたら保険は出る?にまとめました。
脳卒中は後遺症が60日続くこと

脳卒中も考え方は同じです。ただし見る中身が変わります。
対象になるのは3つの病気
脳卒中に含まれるのは、くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞の3つです。
一過性脳虚血発作は、この3つに入りません。
他覚的な神経学的後遺症
条件になるのは、言語障害、運動失調、麻痺といった後遺症が60日以上続くことです。
他覚的という言葉が付いているとおり、医師が診察で確かめられるものに限られます。しびれやだるさのように、本人にしかわからない症状は含まれません。
回復が早いと出ないことがある
治療とリハビリがうまくいって後遺症が消えると、条件から外れてしまいます。
早く治ったほうが保険金は出ない、という逆のことが起きるのです。これが一番納得しにくいところだと思います。
最近の商品は手術や入院でも出る

ここまで厳しい話が続きましたが、新しい商品は変わってきています。
手術を受けたときという条件
60日という条件に代えて、治療のための手術を受けたときに支払う商品が増えました。
ステントやカテーテルの治療を受けた時点で請求できる形です。
入院したときという条件
条件をさらにゆるめて、その病気で入院したときに支払う商品もあります。
この形なら、後遺症が残らなくても一時金を受け取れます。保障の範囲は、ここ十数年で大きく広がりました。
証券のどこを見るか
自分の契約がどちらかは、約款の支払事由という項目でわかります。
60日という数字が書かれていれば古い形、手術や入院という言葉があれば新しい形です。分からなければ、証券番号を手元にコールセンターへ聞いてみましょう。
一時金の金額と保険料免除との違い

いくら受け取れるのか、何に使えるのかも見ておきましょう。
100万円から300万円が多い
一時金の金額は、100万円から300万円で設定する方が多くいます。
医療保険の入院給付金とは桁が違うため、治療が長引くときの支えになります。
使い道は決められていない
受け取ったお金の使い道に、制限はありません。
治療費だけでなく、減った収入の穴埋めや家族の交通費にも使えます。
保険料免除とは別の仕組み
三大疾病には、一時金とは別に保険料免除の特約もあります。
お金を受け取る仕組みと、払わなくてよくなる仕組みの違いです。くわしくは保険料免除特約は必要かにまとめました。
三大疾病の一時金のよくある質問

相談の現場でよく聞かれることをまとめました。気になる項目から読んでみてください。
一時金は何回でも出るか
1回限りの商品と、何年かあけて複数回出る商品があります。
1回出たら契約が終わるタイプもあるので、証券で確かめておきましょう。
狭心症や不整脈は対象か
伝統的な三大疾病の保障では、狭心症も不整脈も対象外です。
心疾患全般をまとめて保障する商品もあるので、名前だけで判断しないようにしましょう。
出ないと言われたらどうするか
約款のどの条文による判断かを聞いてみてください。
納得できなければ、給付金が支払われないときにできることで無料の窓口を紹介しています。
三大疾病の保険は入るべきか
公的な保障で足りるかを先に確かめるのが順番です。
判断の材料は医療保険は必要?とがん保険は必要?にまとめています。
数年前の病気でも請求できるか
約款でさかのぼれるのは3年ですが、必要な書類がそろえば、3年以上たっても請求できるのが基本です。
必要な書類は保険金・給付金の請求ガイドにまとめました。
まとめ

要点を振り返りましょう。
- 3つの病気で支払いの条件が違う
- がんは診断確定で請求できる
- 心筋梗塞は労働の制限が60日
- 脳卒中は後遺症が60日
- 回復が早いと出ないことがある
- 新しい商品は手術や入院でも出る
三大疾病という名前だけでは、出るかどうかは決まりません。
約款の支払事由を開いて、60日という数字があるかを確かめてみてください。

