共済・保険の保障内容や掛金、割戻率は、都道府県や年度、商品によって異なります。加入・見直しの際は必ず各共済や保険会社の公式情報でご確認ください。

保険は県民共済だけ。子どももまだ小さいけど、このままで大丈夫なのかな……

共済だけで十分なご家庭もあります。ただ、足りなくなりやすいご家庭には、はっきりした共通点があるんです。
- 県民共済だけに加入している人
- 子育て中で万一の備えが不安な人
- 民間保険との違いを知りたい人
- 保険料をなるべく上げたくない人
月2,000円ほどで入れて、決算で余ったお金まで戻ってくる県民共済。家計にやさしい備えとして、子育て世帯にも人気があります。
一方で、保険の仕事をしていると「共済だけで本当に足りるの?」というご相談が少なくありません。結論から言うと、県民共済だけで十分な家庭と、足りない家庭ははっきり分かれます。その分かれ目は、掛金の安さではなく家族の状況です。
私は保険会社に約7年勤め、AFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を持っています。この記事では民間保険との違いをふまえて、共済だけでは足りない人の3つの条件を本音でお伝えします。
- 県民共済と民間保険の違い
- 共済のメリットとデメリット
- 共済だけでは足りない人の3条件
- 両方から給付金を受け取れるか
県民共済と民間保険の違い

県民共済も民間の保険も、病気やケガ、万一のときに備えるという目的は同じです。ただし、運営している団体も、お金の集め方も、保障の考え方も違います。この違いを知らないまま比べると「安いから共済」「手厚いから保険」という表面的な選び方になりがちです。ご家庭に合う形を考えるために、まずは全体の違いを整理しておきましょう。
| 項目 | 県民共済 | 民間保険 |
|---|---|---|
| 運営 | 生活協同組合(非営利) | 保険会社 |
| 根拠となる法律 | 消費生活協同組合法 | 保険業法 |
| 掛金・保険料 | 年齢や性別に関係なく一律 | 年齢や性別で変わる |
| 保障の選び方 | 決まったプランから選ぶ | 特約などで組み立てる |
| 保障期間 | 最長85歳まで | 一生涯の終身タイプもある |
| 余ったお金 | 割戻金として戻る | 商品による |
| 破綻時の保護 | 契約者保護機構の対象外 | 契約者保護機構の対象 |
運営元と仕組みの違い
県民共済は組合員同士の助け合い、民間保険は保険会社が提供する商品という違いがあります。
県民共済は、消費生活協同組合法にもとづいて非営利の生活協同組合が運営しています。これに対して民間保険は、保険業法にもとづき金融庁の監督を受けて保険会社が運営しているものです。
決算で余ったお金が割戻金として加入者に戻ってくるのも、利益を目的としない仕組みだからこそです。同じ「保障」でも、成り立ちがまったく違うと覚えておくと理解しやすくなります。
掛金と保障内容の違い
県民共済は、年齢や性別に関係なく、同じ掛金で同じ保障を受けられます。
保障がセットになったプランを選ぶ形なので、掛金と保障内容が最初から決まっているためです。代表的な「総合保障2型」は、次のような内容になっています。
| 保障 | 内容(18〜60歳の場合) |
|---|---|
| 月掛金 | 2,000円 |
| 入院(1日あたり) | 事故・病気とも5,000円 |
| 交通事故による死亡 | 1,000万円 |
| 不慮の事故による死亡 | 800万円 |
| 病気による死亡 | 400万円 |
民間保険は、年齢や性別によって保険料が変わるかわりに、保障額や期間を自分で決められるのが特長です。必要な保障だけを厚くしたい場合は、民間保険のほうが柔軟に組み立てられます。
保障期間と年齢による変化
県民共済の保障は最長85歳までで、年齢が上がるにつれて保障額が小さくなります。
掛金を一律に保つかわりに、年齢に応じて保障額を調整する仕組みになっているからです。
- 60歳を過ぎると保障額が段階的に減少
- 65歳以降は熟年型のプランへ移行
- 85歳で保障が終了
民間保険には、保険料が上がらないまま一生涯続く終身タイプもあります。老後まで同じ保障を持ち続けたいかどうかが、選ぶときの分かれ目です。保険の種類そのものの違いは生命保険と医療保険の違いは?で解説しています。
県民共済のメリット

ここからは、県民共済ならではの良さを見ていきましょう。保険の仕事をしている立場から見ても、県民共済はよくできた仕組みだと感じます。特に、若いうちから家計を圧迫せずに一定の備えを持てる点は、子育て世帯にとって大きな魅力です。デメリットだけで判断しないためにも、まずはメリットを正しく押さえておきましょう。
掛金が安く年齢で上がらない
一番のメリットは、掛金が手ごろなうえに年齢で上がらないことです。
総合保障2型であれば、加入できる18〜64歳の間はずっと月2,000円のままです。30代で入っても50代で入っても、掛金は変わりません。

年齢で上がらないのは、家計の計画が立てやすくて助かります
毎月の固定費が読みやすいので、教育費の積み立てなど他のお金の計画と両立しやすくなります。
割戻金で実質負担が下がる
決算で余ったお金が戻ってくるため、実際の負担は掛金より軽くなります。
県民共済では1年ごとに決算を行い、余ったお金を「割戻金」として掛金に応じて返しているからです。たとえば都民共済の2025年度は、総合保障型で掛金の36.32%が割戻金として戻っています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間の掛金(月2,000円) | 2万4,000円 |
| 割戻金(割戻率36.32%) | 約8,700円 |
| 実質の負担(月あたり) | 約1,270円 |
割戻率は都道府県や年度によって変わり、約束されたものではありません。それでも、実質の負担が掛金より下がりやすいのは共済ならではの特長です。
加入手続きが簡単
申し込みの手間が少ないのも、忙しい子育て世帯にはうれしい点です。
健康状態の告知はありますが、医師の診査はなく、申込書やインターネットで手続きできます。プランの数も絞られているので、比べて迷う時間もかかりません。
「とりあえず何も入っていない状態は避けたい」という最初の備えとして、県民共済はとても使いやすい選択肢です。
県民共済のデメリット

メリットの多い県民共済ですが、仕組みの上でどうしても手薄になる部分があります。問題になるのは、共済が悪いからではなく、家族の状況と保障の中身が合っていない場合です。ここで紹介する3つのデメリットは、このあとの「足りない人の3条件」を考えるうえでの土台になります。ご自身の家庭に当てはめながら読んでみてください。
死亡保障が子育て世帯には少ない
子育て世帯にとって一番気をつけたいのは、死亡保障の金額です。
総合保障2型の場合、病気で亡くなったときの保障は400万円です。事故で亡くなった場合は800万〜1,000万円になりますが、実際には病気で亡くなるケースのほうが多くなります。
子どもが独立するまでの生活費や教育費を考えると、400万円だけでは心もとないのが正直なところです。上位のプランを選んでも、共済で持てる保障額には限りがあります。公的な遺族年金がいくら出るかを先に確かめておくと、足りない額がはっきりします。
65歳以降に保障が小さくなる
65歳を過ぎると保障が小さくなり、85歳で終わってしまいます。
総合保障2型は65歳以降に熟年型のプランへ移り、入院や死亡の保障額が下がる仕組みだからです。病気のリスクが高まる年代ほど保障が薄くなる、という点は理解しておきたいところです。
子育て中の今すぐ困る話ではありません。ただ、老後の医療の備えまで共済だけに任せるつもりなら、早めに考えておくと選択肢が広がります。健康なうちのほうが、民間保険にも入りやすいからです。
契約者保護機構の対象外
県民共済は、生命保険契約者保護機構の対象になっていません。
保護機構は保険業法にもとづく制度で、民間の生命保険会社が破綻したときに契約を守るためのものだからです。共済は別の法律で運営されているため、この仕組みの外側にあります。

もし共済がつぶれたら、保障はなくなっちゃうの?
共済も法令にもとづいて将来の支払いに備えたお金を積み立てており、過度に心配する必要はありません。ただ、民間保険と同じ保護の仕組みではない、という違いは知っておくと安心です。
県民共済だけでは足りない人の3条件

ここがこの記事の本題です。県民共済だけで足りるかどうかは、掛金の安さや保障の数では決まりません。万一のことがあったとき、残された家族の暮らしを共済の保障額で支えきれるかどうかで決まります。次の3つのうち1つでも当てはまるなら、共済だけでは不足しやすいと考えてください。反対に、どれにも当てはまらなければ共済で十分なことも少なくありません。
子どもが小さく教育費がこれから
1つめは、子どもがまだ小さく、教育費がかかるのはこれからという家庭です。
子どもが独立するまでの年数が長いほど、必要な生活費と教育費の合計が大きくなるからです。教育費は進路によって差がありますが、大学まで考えると数百万円単位のお金がかかります。
遺族年金などの公的な保障も受け取れますが、それだけで教育費までまかなえるとは限りません。子どもが小さいほど、共済の保障額との差が開きやすくなります。お子さん自身の保障については子どもに医療保険は必要?で解説しています。
賃貸住まいで住居費がかかり続ける
2つめは、賃貸に住んでいて家賃を払い続ける家庭です。
住宅ローンを組んで家を買った場合は、多くの人が団体信用生命保険に入っています。ローンの名義人が亡くなるとローンの残りが支払われ、その後の住居費の負担がなくなる仕組みです。
賃貸の場合は、万一のあとも家賃が毎月かかり続けます。持ち家の家庭より必要な保障が大きくなりやすいことは、意外と見落とされています。
家計の収入を1人に頼っている
3つめは、家計の収入の大部分を1人の稼ぎに頼っている家庭です。
その人に万一のことがあると、毎月の収入の大半が一度に途絶えてしまうからです。片方が扶養の範囲内で働いているご家庭も、ここに当てはまります。
- 子どもが小さく教育費がこれから
- 賃貸住まいで家賃がかかり続ける
- 家計の収入を1人に頼っている
当てはまった場合でも、共済をやめる必要はなく、足りない分だけ民間保険で上乗せすれば十分です。医療の備えは共済に任せ、不足しがちな死亡保障だけを期間を決めた民間の保険で補う、という組み合わせがよく選ばれています。死亡保障をいくら上乗せすればよいかは、収入保障保険とは?月いくら必要かで試算表を使って解説しています。見直しのきっかけについては保険の見直しタイミングはいつ?も参考にしてください。
県民共済のよくある質問

最後に、県民共済と民間保険について実際によくいただく質問をまとめました。特に「両方に入っていたら給付金はどうなるのか」は、請求の場面で多くの方が迷うポイントです。気になる項目だけ読んでいただいても大丈夫です。関連する記事へのリンクもあわせて載せています。
共済と民間保険の両方からの給付金
入院や死亡のように決まった金額が支払われる保障であれば、共済と民間保険の両方から受け取れます。
このタイプの保障は、実際にかかった費用ではなく契約で決めた金額を支払う仕組みだからです。どちらかを受け取ったせいで、もう片方が減らされることはありません。
ただし、請求はそれぞれに別々に行う必要があります。一方の手続きが終わると安心してしまい、もう片方を請求し忘れるケースは意外と多いので注意してください。
県民共済の掛金と生命保険料控除
県民共済の掛金も、生命保険料控除の対象になります。
一部を除き「一般生命保険料」と「介護医療保険料」に分けて扱われ、秋ごろに控除証明書が届く仕組みです。月2,000円の共済だけであれば、控除される金額は払った掛金と同じくらいかそれより少なくなります。2026年分の控除の拡充については生命保険料控除が6万円に|子育て世帯の対象条件で詳しく解説しています。
民間保険へ切り替えるタイミング
共済から全面的に切り替えるより、足りない分を上乗せするほうが現実的です。
検討するなら、子どもが生まれたときや住まいが変わったときなど、家族の状況が変わったタイミングがおすすめです。民間保険は健康状態の告知によって入れないこともあるので、健康なうちに動くほうが選択肢は広がります。
持病がある場合の加入
県民共済にも健康状態の告知があり、内容によっては加入できないことがあります。
「共済なら誰でも入れる」と思われがちですが、実際には病歴や通院の状況の申告が必要です。民間保険には、告知の項目を少なくした「引受基準緩和型」の商品もあります。持病があって共済に入れなかった場合も、あきらめずに選択肢を確認してみてください。
コープ共済やこくみん共済との違い
どれも生活協同組合が運営する共済ですが、運営している団体が違います。
| 共済の名前 | 運営団体 |
|---|---|
| 都道府県民共済 | 全国生活協同組合連合会 |
| コープ共済 | 日本コープ共済生活協同組合連合会 |
| こくみん共済 coop | 全国労働者共済生活協同組合連合会 |
運営団体が違うので、商品の内容や掛金、割戻金の実績もそれぞれ異なります。「共済」とひとくくりにせず、加入している共済の保障内容を個別に確認することが大切です。
まとめ

県民共済は、手ごろな掛金で一定の備えを持てる、よくできた仕組みです。ただし子育て世帯では、家族の状況によって保障が足りなくなることがあります。
- 共済は非営利の助け合いで掛金は一律
- 割戻金で実質負担が下がりやすい
- 病気の死亡保障は400万円(総合保障2型)
- 足りない人の3条件は教育費・家賃・収入
- 足りない分だけ民間保険で上乗せ
3つの条件に当てはまらなければ、今のまま共済を続けるのも立派な選択です。当てはまった方も、共済をやめる必要はありません。

いくら上乗せすれば足りるかは、ご家庭ごとに違います。一度数字で確かめておくと安心ですよ。
自分で計算するのが難しいときは、保険の無料相談で必要な保障額を一緒に出してもらう方法もあります。しつこく勧められないか不安な方は、保険相談は無料なのになぜ?で押し売りされないためのコツを先に読んでおくと安心です。

