給付金の取り扱いは、加入している保険の約款によって異なります。この記事は一般的な例をまとめたものです。実際の可否は、ご加入の保険会社にご確認ください。

検査のために入院したのですが、結果は異常なしでした。これでも請求できますか。

医師の指示による検査入院なら、結果が異常なしでも対象になることがほとんどですよ。
- 結果が異常なしだった検査入院
- 介護医療院でのリハビリ入院
- 家族の休養のためのレスパイト入院
- 出産や切迫早産での入院
入院さえすれば給付金が出る、と思っていませんか。
実際には、入院給付金には2つの条件があり、どちらかを外すと支払われません。逆にいえば、この2つさえ押さえれば見当がつきます。
私は保険会社に約7年勤め、コールセンターでこうしたご相談を受けてきました。AFP(ファイナンシャルプランナー)として、迷いやすい4つの事例で整理します。判断の基準がわかると、請求をあきらめずに済みます。
入院給付金が出る2つの条件

まずは土台となるルールからです。入院給付金は、約款に書かれた条件に当てはまるかどうかで判断されます。その条件は大きく2つだけで、入院の目的と入院先の種類です。ここを知っておくと、このあとの4つの事例がどこで引っかかるのかが見えてきます。
治療を目的とする入院であること
1つ目は、病気やケガの治療を目的とした入院かどうかです。
自宅での療養では対応できず、医師が入院の必要を認めたことが前提になります。予防や健康管理のための入院は、この条件に当てはまりません。
この判断は、ご本人の希望ではなく医師の指示があるかどうかで分かれます。
医療法に定める病院か診療所であること
2つ目が、入院した先の施設の種類です。
| 施設の種類 | 根拠となる法律 | 入院給付金 |
|---|---|---|
| 病院や診療所 | 医療法 | 対象になる |
| 介護医療院などの介護施設 | 介護保険法 | 対象にならない |
同じ入院という言葉を使っていても、根拠となる法律が違えば扱いも変わります。
この記事で扱う4つの事例
迷いやすい4つの事例を、先に一覧にしておきます。
| 事例 | 一般的な取り扱い | 分かれ目 |
|---|---|---|
| 検査入院 | 医師の指示なら対象 | 治療の一環かどうか |
| リハビリ入院 | 病院なら対象 | 入院先の施設の種類 |
| レスパイト入院 | 内容によって分かれる | 治療や医療行為の有無 |
| 出産の入院 | 正常分娩は対象外 | 異常と診断されたか |
検査入院は対象になるか

もっとも多いご相談が、検査のための入院です。結果が異常なしだったので請求してよいのか迷う、という声をよくいただきます。結論からいうと、医師の指示による検査入院なら対象になることがほとんどです。ただし例外もあるので、あわせて見ていきましょう。
医師の指示による検査入院
何らかの症状があり、医師の判断で行われた検査入院は対象になります。
診断をつけるための検査は、治療の一環と考えられるためです。結果が異常なしでも、請求できることが一般的です。
異常がなくてよかった、で終わらせずに、請求の手続きを進めてみてください。
人間ドックや健康診断は対象外
一方で、症状がないのに受ける検査入院は対象になりません。
- 人間ドックでの1泊入院
- 会社の定期健診にともなう入院
- 予防を目的とした検査入院
これらは治療ではないため、公的医療保険もきかず全額自己負担になります。民間の医療保険でも、同じ理由で対象になりません。
睡眠時無呼吸症候群の検査は要注意
ひとつだけ、注意しておきたい検査があります。
睡眠時無呼吸症候群の検査入院です。最近の医療保険では、検査の結果その病気と診断された場合だけを対象とする、と定めているものが増えています。
つまり結果に問題がなければ、医師の指示で入院していても対象外になる場合があります。古い保険では制限がないこともあるので、入院の前に約款を確認しておきましょう。
リハビリ入院と施設の種類

次に多いのが、退院後にリハビリのため施設へ移ったときのご相談です。ここでつまずく方の多くは、リハビリだから対象外なのだと誤解されています。実際に見られているのはリハビリの内容ではなく、移った先がどの法律に基づく施設かという点です。混同しやすいところなので、順に整理します。
リハビリだから対象外ではない
まず押さえたいのが、リハビリそのものは対象外の理由にならないことです。
医療法に定める病院でリハビリのための入院を続けているなら、治療の一環として対象になることがあります。骨折で入院し、そのまま同じ病院でリハビリを続けた場合などです。
分かれ目になるのは、あくまで入院先の種類のほうです。
介護医療院は介護保険法の施設
介護医療院などの介護施設に移ると、そこから先は対象になりません。
介護保険法に基づく施設は、約款でいう入院に当てはまらないためです。長期の療養や介護が目的の施設だからです。
ただし、その前に病院へ入院していた期間は対象になります。その分の請求は忘れずに行いましょう。
同じ建物でも病床で変わる
ややこしいのが、施設の名前だけでは判断できない場合です。
同じ建物のなかに、医療法上の病床と介護保険法上の病床が混在していることがあります。転棟しただけで扱いが変わることもあるため、名称ではなく病床の種類で判断しましょう。
どちらに入院しているかは、施設の相談窓口に聞けば教えてもらえます。入院給付金で見落としやすい例は、抜釘手術は医療保険で請求できる?入院給付金の落とし穴でも取り上げました。
レスパイト入院は対象になるか

在宅で介護をしているご家庭から増えているのが、レスパイト入院のご相談です。介護するご家族の休養が目的と説明されるため、治療目的ではないと考えてあきらめてしまう方がいます。ただ、結論を分けるのは実際の入院中に何が行われたかです。あきらめる前に知っておきたい点をまとめます。
レスパイト入院のしくみ
レスパイトには、休息や息抜きという意味があります。
- 在宅で療養している方が短期間入院する
- 期間は原則14日以内とする病院が多い
- 人工呼吸器や経管栄養など医療的ケアが必要な方が中心
- 入院費は公的医療保険で通常どおり請求する
介護保険のショートステイが使いにくい方の受け皿になっている制度です。
治療や医療行為があれば請求できることも
民間の医療保険が見ているのは、入院中に何が行われたかです。
入院の名目が休養であっても、医師による積極的な治療や医療行為が行われていれば、請求できる可能性があります。人工呼吸器の管理や点滴、処置が続いているケースなどです。
保険会社は、診断書に書かれた病名や処置の内容を見て個別に判断します。
対象外と決めつけずに相談する
ここでお伝えしたいのは、自己判断でやめないでほしいということです。
レスパイト入院というだけで対象外とは限りません。書類を出してみたら支払われた、というケースもあります。
入院が決まった段階で保険会社に電話し、必要な書類を確認しておくとスムーズです。
妊娠と出産の入院

子育て世帯からのご相談で多いのが、出産にかかわる入院です。出産は大仕事なのに保険が使えないのか、と驚かれる方もいます。ここも治療目的かどうかという同じ物差しで判断されます。どこからが対象になるのかを具体的に見ていきましょう。
正常分娩は対象外
問題のない普通のお産は、入院給付金の対象になりません。
正常分娩は病気ではなく、自然な経過と位置づけられているためです。公的医療保険もきかないので、費用は原則として自己負担になります。
そのかわりに、出産育児一時金が支給されるしくみです。出産費用は医療費控除の対象になるので、医療費控除と保険金の差し引きのルールもあわせてご覧ください。
異常妊娠と異常分娩は対象
一方で、医師が異常と診断したケースは対象になります。帝王切開でいくら出るかは帝王切開で医療保険はいくら出る?で計算しています。
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 帝王切開 | 手術による出産で、手術給付金の対象にもなることが多い |
| 陣痛促進剤の使用 | お産の進みが悪いときに薬で分娩を促す処置 |
| 鉗子分娩や吸引分娩 | 器具を使って赤ちゃんを助け出す医療的処置 |
| 切迫早産や切迫流産 | 早産や流産の危険があるための管理入院 |
| 妊娠高血圧症候群 | 妊娠中に血圧が上がる病気による入院 |
| 前置胎盤 | 胎盤の位置が通常と異なる状態での管理入院 |
切迫早産での管理入院は、対象になることがほとんどです。診断書をもらっておくと手続きが早く進みます。
加入や見直しは妊娠前に
備えるなら、妊娠がわかる前に動いておくのが鉄則です。
妊娠中は新規加入や増額に制限がかかることがあります。子宮や妊娠に関する部分だけ保障の対象外という条件がつく場合もあります。
これから妊活を考えている方は、早めに保障の中身を確かめておきましょう。公的な給付の全体像は出産でもらえるお金3つにまとめています。
請求前に確認する3つのこと

ここまでの内容を、実際の手順に落とし込んでみましょう。入院給付金の可否は、手元の書類と1本の電話でかなりはっきりします。診断書を取るかどうかの判断も早くなり、費用のむだも防げます。順番に確認していきましょう。
入院先がどの施設か
最初に確かめたいのが、入院した先の種類です。
病院や診療所なら条件を満たしますが、介護保険の施設だと対象から外れます。転院や転棟をした場合は、期間ごとに分けて考える必要があります。
わからないときは、入院先の相談窓口で聞くのが確実です。
診断書に書かれる入院の目的
次に見られるのが、入院の目的と治療の内容です。
保険会社は、診断書に書かれた病名や処置をもとに判断します。医師に病状を伝えるときは、受けた処置の内容もあわせて確認しておきましょう。
必要な書類の集め方は、保険金・給付金の請求ガイド|必要書類と診断書代で損しない方法にまとめています。
保険会社への聞き方
最後はコールセンターへの電話です。伝える順番にコツがあります。
証券番号のあとに病名と入院先の名前、入院した期間を続けて伝えます。迷っているという前置きは不要で、事実を並べるほうが回答は早くなります。
手術も受けている場合は、手術給付金の対象になる手術・ならない手術もあわせてご覧ください。
入院給付金のよくある質問

相談の現場でよく聞かれることをまとめました。気になる項目から確認してみてください。
日帰り入院でも対象になるか
最近の医療保険は、日帰り入院から対象にしているものが主流です。古い保険では5日目からという条件のこともあるので、証券で確認しておきましょう。
転院したらどうなるか
同じ病気の治療が続いているなら、転院しても通算して数えるのが一般的です。転院先が介護施設だと、そこから先は対象外になります。
同じ病気で再入院したときは
退院から180日以内に同じ病気で入院すると、1回の入院として扱う商品が多くあります。支払限度日数を使い切っていると出ないため、日数の残りを確認しましょう。
差額ベッド代も出るか
入院給付金は1日あたりいくらという形で支払われ、使いみちは自由です。差額ベッド代として別に出るわけではないので、日額が足りるかで考えましょう。
請求に期限はあるか
約款では退院日から3年と決められています。ただし必要な書類がそろえば、3年を過ぎていても請求できることがあります。何年も前の入院を思い出したら、諦めずに保険会社へ聞いてみてください。
まとめ

入院給付金は、入院したという事実だけでは決まりません。要点を振り返ります。
- 条件は治療目的と入院先の2つ
- 医師の指示による検査入院は対象
- 人間ドックや健診は対象外
- 介護医療院に移ると対象から外れる
- レスパイト入院は治療の内容しだい
- 正常分娩は対象外で異常分娩は対象
迷ったら、自己判断でやめずにまず保険会社へ聞いてみてください。入院日額が今の生活に合っているか不安な方は、この機会に見直してみるのもよいと思います。

