保険料や保障内容は、保険会社・商品・年齢・健康状態によって異なります。遺族年金の金額は目安です。加入や見直しの際は、必ず保険会社や年金事務所でご確認ください。

収入保障保険がいいって聞いたけど、毎月いくらにすればいいのか全然わからなくて……

月額は、遺族年金でまかなえない分だけで大丈夫です。順番に計算してみましょう。
- 子育て中で死亡保障が足りるか不安な人
- 県民共済だけでは心もとない人
- 収入保障保険の月額に迷っている人
- 保険料をなるべく抑えたい人
子どもが小さいうちに万一のことがあったら、残された家族の暮らしはどうなるのか。子育て世帯なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
そんな不安に、少ない保険料で備えられるのが収入保障保険です。ただし「なんとなく月15万円」のように決めると、必要以上の保険料を払い続けることになりかねません。遺族年金を差し引けば、本当に必要な金額は思ったより小さくなります。
私は保険会社に約7年勤めてきたAFP(ファイナンシャルプランナー)です。この記事では、子育て世帯が収入保障保険の月額と期間を決める手順を、試算表を使ってわかりやすく解説します。
- 収入保障保険の仕組み
- 子育て世帯に向いている理由
- 遺族年金をふまえた月額の決め方
- 契約前に知っておきたい注意点
収入保障保険の仕組み

収入保障保険は、死亡保険の一種です。一般的な死亡保険との一番の違いは、保険金の受け取り方にあります。まとまったお金を一度に受け取るのではなく、お給料のように毎月受け取る形になっているのが特長です。この仕組みを理解しておくと、なぜ保険料が安いのか、どんな家庭に合うのかが見えてきます。
死亡後に毎月受け取る保険
収入保障保険は、被保険者が亡くなったあと、保険期間が終わるまで毎月決まった金額を受け取れる保険です。
亡くなった人の収入の代わりに、家族の生活費を毎月届けるという考え方でつくられているからです。月10万円で60歳満了の契約なら、60歳になるまで毎月10万円が支払われます。
毎月の家計に合わせて受け取れるので、まとまったお金の管理に不安がある方でも使いやすい保険です。
定期保険との違い
一定期間の死亡を保障する点は同じですが、保険金の受け取り方と総額の変わり方が違います。
| 項目 | 収入保障保険 | 定期保険 |
|---|---|---|
| 受け取り方 | 毎月の年金形式(一括も選べる商品が多い) | 一括で受け取る |
| 受取総額 | 時間とともに減っていく | 期間中ずっと同じ |
| 保険料 | 割安 | 同じ保障額なら割高 |
| 向いている備え | 毎月の生活費 | 葬儀代や住宅資金など一時的な出費 |
どちらが優れているというより、何に備えたいかで使い分けるのがおすすめです。
受取総額が年々減る理由
収入保障保険は、亡くなる時期が遅いほど、受け取れる総額が少なくなります。
毎月の受取額は同じでも、保険期間の終わりまでの残り月数が減っていくからです。
| 亡くなった年齢 | 60歳満了までの受取期間 | 受取総額(月10万円) |
|---|---|---|
| 35歳 | 25年 | 3,000万円 |
| 45歳 | 15年 | 1,800万円 |
| 55歳 | 5年 | 600万円 |
保障が減っていくと聞くと損に感じるかもしれません。ですが、この仕組みこそが保険料の安さにつながっています。
子育て世帯に向いている理由

保障が年々減っていく収入保障保険は、子育て世帯の暮らしの変化とよく合っています。子どもが成長するにつれて、残された家族に必要なお金も少しずつ減っていくからです。さらに、すでに県民共済などに入っている家庭でも、足りない部分だけを上乗せしやすいという使い勝手の良さもあります。3つの理由を順番に見ていきましょう。
必要な保障も年々減る
子育て世帯に必要な死亡保障は、子どもの成長とともに小さくなっていきます。
子どもが独立するまでの年数が短くなるほど、残された家族が必要とする生活費と教育費の合計が減るからです。

必要な金額と一緒に保障も減るなら、ムダがないですね
そのとおりです。必要な金額の減り方と保障の減り方が近いので、払いすぎになりにくい保険だといえます。
保険料が割安
同じくらいの死亡保障を持つなら、定期保険より保険料を抑えやすいのも魅力です。
時間とともに保険会社が支払う可能性のある総額が減るため、そのぶん保険料が安く設定されているからです。たばこを吸わない人や、健康状態が良い人向けの割安な保険料を用意している商品も少なくありません。
教育費や住宅費がかさむ時期でも続けやすく、家計の負担を大きくせずに備えられます。
県民共済と組み合わせやすい
すでに県民共済に入っている家庭なら、共済はそのままに、足りない死亡保障だけを収入保障保険で上乗せできます。
県民共済は入院の保障が手厚い一方で、病気で亡くなったときの保障は数百万円にとどまるプランが多いからです。医療の備えは共済、生活費の備えは収入保障保険と役割を分けると、保険料を抑えながら保障を整えられます。
共済だけで足りるかどうかの判断基準は、県民共済だけで大丈夫?足りない人の3条件で詳しく解説しています。
月額と保険期間の決め方

ここがこの記事の本題です。収入保障保険の月額は、今の生活費をそのまま保障するものではありません。遺族年金やパート収入など、万一のあとも入ってくるお金を差し引いた「足りない分」を補えば十分です。月額と保険期間の決め方を、子ども1人の家庭を例にして、実際の数字で確認していきます。
遺族年金を差し引いて考える
会社員の家庭では、万一のときに遺族年金を受け取れる場合がほとんどです。金額の出し方は遺族年金はいくらもらえる?にまとめています。
18歳になった年度の末までの子どもがいる配偶者には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されるからです。2026年度の遺族基礎年金は年84万7,300円で、第1子・第2子にはそれぞれ年24万3,800円が加算されます。
| 項目 | 年額の目安 |
|---|---|
| 遺族基礎年金 | 84万7,300円 |
| 子の加算(1人) | 24万3,800円 |
| 遺族厚生年金 | 約43万円 |
| 合計 | 約152万円(月約12万7,000円) |
遺族厚生年金は、夫の厚生年金への加入期間を300か月とみなして計算した概算です。実際の金額は、ねんきん定期便や年金事務所で確認してください。
月額の目安の出し方
月額は「万一のあとの生活費」から「入ってくるお金」を引いて求めます。
ここでは、38歳の夫が会社員、妻がパート勤務、小学生の子どもが1人いる賃貸住まいの家庭で試算してみましょう。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| ①夫が亡くなったあとの生活費(家賃を含む) | 25万円 |
| ②遺族年金 | 約12万7,000円 |
| ③妻のパート収入 | 6万円 |
| 足りない金額(①−②−③) | 約6万3,000円 |
この家庭であれば、月7万円前後の収入保障保険が1つの目安になります。今の生活費がそのまま必要になるわけではなく、夫の食費やこづかい、夫自身の保険料などは不要になる点も計算に入れてください。

大学の学費みたいな大きな出費は、この計算に入っていないですよね?
鋭いご指摘です。進学費用のようなまとまった出費は、別に備えると考えると整理しやすくなります。貯蓄や学資の積み立て、県民共済の死亡保障などがその役割です。
保険期間は末子の独立まで
保険期間は、一番下の子どもが独立するまでを目安にします。
子どもが独立すれば、残された家族に必要な生活費が大きく減るからです。大学卒業まで考えるなら、子どもが22歳になる年を基準に、夫の年齢で満了を選びます。
- 末子が今8歳なら独立まであと14年
- 夫が38歳なら52歳満了が最短の目安
- 商品の区切りに合わせて55歳や60歳満了を選択
なお、子どもが18歳になった年度の末を過ぎると、遺族基礎年金の支給は終わります。遺族年金の制度改正も予定されているため、子どもが独立したあとの見通しは余裕をもって考えておくと安心です。
契約前に知っておきたい注意点

収入保障保険は子育て世帯と相性の良い保険です。ただ、仕組みを知らずに契約すると「思っていたのと違った」となりがちな点もあります。特に、受け取り方の選び方は、実際に請求する場面になって初めて気づく方が少なくありません。保険会社で請求のご相談を受けてきた立場から、契約前に押さえておきたい3つの注意点をお伝えします。
加入が遅いほど受取総額が減る
保険期間の終わりが決まっている以上、加入を先延ばしにするほど保障の総額は小さくなります。
加入時の年齢が上がると保険料も高くなりやすく、健康状態によっては入れなくなることもあるからです。子どもが生まれたときなど、必要性を感じたタイミングで早めに検討するのがおすすめです。
一括で受け取ると総額が少なくなる
多くの商品では、毎月の受け取りの代わりに一括で受け取ることもできます。
ただし一括で受け取ると、毎月受け取る場合の合計より金額が少なくなります。本来は将来受け取るはずのお金を、先にまとめて受け取るためです。
住宅ローンの返済や引っ越しなど、まとまったお金が必要な事情がなければ、毎月受け取るほうが総額は多くなります。受け取り方は請求のときに選べることが多いので、慌てて決めないようにしてください。
最低支払保証期間
満了の直前に亡くなった場合でも、一定の期間分は受け取れる仕組みがあります。
これを最低支払保証期間といい、2年や5年などから選べる商品が一般的です。たとえば保証期間が5年なら、満了の1年前に亡くなっても5年分の年金が支払われます。
| 保証期間の設定 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 短い(2年など) | 保険料が安い | 満了間近の保障が小さい |
| 長い(5年以上など) | 満了間近でも一定額を確保 | 保険料がやや高い |
子どもの独立に合わせて保険期間を短めにした場合は、保証期間を少し長めにしておくと安心感が増します。
収入保障保険のよくある質問

最後に、収入保障保険について子育て世帯からよくいただく質問をまとめました。似た名前の保険との違いや、住宅ローンを組んでいる場合の考え方、受け取ったときの税金など、契約前に気になりやすい内容です。気になる項目だけ読んでいただいても構いません。
就業不能保険との違い
収入保障保険は亡くなったとき、就業不能保険は病気やケガで働けなくなったときに備える保険です。
名前が似ているので混同されがちですが、備えるリスクがまったく違います。会社員には傷病手当金などの公的な保障もあるため、就業不能保険の必要性は立場によって変わります。詳しくは就業不能保険は会社員は不要?をご覧ください。
団信があっても必要か
住宅ローンの団体信用生命保険に入っていれば、必要な月額は小さくなります。
ローンの名義人が亡くなるとローンの残りが支払われ、その後の住居費が大きく減るからです。試算表の生活費から住宅ローンの返済額を除いて計算し直すと、収入保障保険が不要になる家庭もあります。
団信に入ったあと、死亡保障をいくら減らせるかは団信があれば生命保険はいらない?減らせる保障と残す保障で試算しています。
共働きなら夫婦とも加入すべきか
妻の収入が家計を大きく支えているなら、妻にも保障を検討する価値があります。
妻が亡くなった場合も、その収入がなくなり、家事や育児のために夫の働き方が変わることがあるからです。一方、扶養の範囲内で働いている場合は、県民共済などの保障で足りることも多くなります。
受け取った年金の税金
契約者と被保険者が夫、受取人が妻の場合、年金を受け取る権利は相続税の対象になります。
そのうえで、毎年受け取る年金は、相続税の対象になった部分を除いた一部だけが所得税の対象です。契約者や受取人の組み合わせによって税金の種類が変わるため、詳しくは保険会社や税務署に確認してください。
生命保険料控除の区分
収入保障保険の保険料は、生命保険料控除の「一般生命保険料」の区分に入ります。
2026年分は、23歳未満の子どもを扶養している人に限り、一般生命保険料控除の上限が6万円に広がりました。詳しくは生命保険料控除が6万円に|子育て世帯の対象条件で解説しています。
まとめ

収入保障保険は、子育て世帯の暮らしの変化に合わせて保障が減っていく、ムダの少ない死亡保険です。月額は、遺族年金などを差し引いた足りない分だけで十分です。
- 死亡後に毎月受け取る死亡保険
- 保障が年々減るぶん保険料が割安
- 月額は生活費から遺族年金と収入を引いた差額
- 保険期間は末子の独立までが目安
- 一括受取は総額が少なくなる
試算表の数字を、ご自身の家庭に置き換えて計算してみてください。必要な月額がわかれば、保険選びで迷う時間はぐっと短くなります。

遺族年金の金額は家庭ごとに違います。計算に自信がなければ、プロと一緒に確かめるのも一つの方法ですよ。
保険の無料相談では、遺族年金をふまえた必要保障額の計算を一緒にしてもらえます。当日の流れは保険の無料相談で聞かれることは?、押し売りが心配な方は保険相談は無料なのになぜ?を先に読んでおくと安心です。

