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火災保険の申請代行は危ない|手数料40%と自己負担になる仕組み

火災保険の申請代行の手数料と自己負担になる仕組みを解説するアイキャッチ画像 保険について

この記事は国民生活センター、日本損害保険協会、消費者庁の公表資料をもとにまとめています。個別の契約やトラブルについては、加入先の保険会社や消費生活センターにご相談ください。

屋根を無料で点検しますと業者が来ました。保険金で直せると言われています。

その場で署名しないでください。先に保険会社へ連絡するのが正しい順番です。

こんな方に読んでほしい記事です
  • 無料点検の訪問や電話を受けた人
  • 保険金で無料修理という広告を見た人
  • すでに契約書に署名してしまった人
  • 台風や大雪で家に傷みがある人

保険金を使えば自己負担なく家を直せる。そう言って訪ねてくる業者がいます。

国民生活センターは、この勧誘が10月前後に増えると注意を呼びかけています。秋の台風シーズンだからです。

私は保険会社に約7年勤め、AFP(ファイナンシャルプランナー)として相談を受けてきました。何が起きているのか、そして正しい手順をお伝えします。


火災保険の申請代行とはどんなサービスか

申請代行は保険金の請求を手伝い報酬として保険金の一定割合を取るサービスだと示すバナー画像

まず、どういうサービスなのかを整理します。申請サポート、保険金請求コンサルなど、呼び名はさまざまです。名前は違っても、やっていることと料金の仕組みはよく似ています。

保険金の請求を手伝うサービス

家の傷んだところを調べ、保険金の請求を手伝うとうたうサービスです。

屋根や外壁、雨どいなどを点検し、写真を撮って報告書を作ります。そのうえで、保険会社に出す書類をそろえてくれるという説明をします。

一見すると、面倒な手続きを代わりにやってくれる親切なサービスに見えるでしょう。

報酬は保険金の一定割合

問題は料金のとり方にあります。

受け取った保険金の30から40パーセントを報酬として求められる例が報告されています。保険金が出なければ負担はないと説明されることが多いようです。

損をしないように聞こえますが、ここに落とし穴があります。

訪問とネット広告から来る

接点は大きく2つです。

ひとつは突然の訪問や電話。災害を調査している機関を名乗るケースもあります。もうひとつは、火災保険で無料修理とうたうインターネット広告です。大雪のあとに来る場合は雪で屋根が壊れたら火災保険は出るもあわせてどうぞ。

どちらから入っても、最後は自宅に来て契約を求める流れになります。

国民生活センターが出している警告

相談件数が10年で24倍に増え勧誘は10月前後に増えることを示すバナー画像

このサービスについては、公的機関がはっきりと注意を出しています。感想や口コミではなく、全国の消費生活センターに寄せられた実際の相談にもとづく警告です。

相談は10年で24倍に増えた

相談件数の推移が公表されています。

年度相談件数
2010年度111件
2014年度663件
2017年度1,180件
2019年度2,684件
保険金が使えると勧誘する住宅修理サービスの相談件数(国民生活センターの公表資料をもとに作成)

2019年度は2010年度の約24倍。一部の人だけの話ではなくなっています。

増えるのは10月前後

時期にもはっきりした傾向があります。

勧誘と契約は10月前後の秋台風シーズンに増えると公表されています。台風のあとは家の傷みが気になるからです。

ちょうど今の季節が、一番声をかけられやすい時期にあたります。

請求は加入者自身でできる

そして、もっとも大事な一文がこれです。

国民生活センターは、申請サポート会社に頼らなくても保険金の請求は加入者自身で行えると明記しています。業者に頼まなければ請求できない、ということはありません。

保険会社の側にいた私から見ても、そのとおりです。

実際に起きているトラブル3つ

保険金100万円のうち30万円が手数料になり修理代が足りなくなる例を示すバナー画像

では、何が問題になっているのでしょうか。公表されている相談事例から、よくある3つを紹介します。どれも契約してから気づくもので、あとから取り返すのが難しい点が共通しています。

手数料で保険金が目減りする

まずは、お金の話からです。

保険金が100万円おりた方が、報酬として30万円を支払いました。残った70万円で住宅メーカーに修理を頼んだところ、その金額では直せないと言われたそうです。

自己負担なしのはずが、足りない分を自分で出すことになりました。

工事をやめると違約金を求められる

契約書に気づきにくい条件が入っている例もあります。

工事をしない場合は違約金として保険金の5割を払う、と書かれていた事例があります。契約のときに説明はなかったそうです。

保険金の4割を請求されたという相談も報告されています。

そもそも保険金が出ない

一番多い誤解がここです。

日本損害保険協会は、自然の消耗や劣化、さびなどで生じた損害は支払いの対象にならないと明記しています。火災保険が補償するのは、台風や雪など自然災害による損害です。

何が対象になるかは保険金・給付金の請求ガイドも参考にしてください。

うその請求は犯罪になります

うその理由で保険金を請求すると詐欺にあたる可能性があることを示すバナー画像

ここからは、知らないうちに加害者側になってしまう話です。相談事例のなかには、聞いていて背筋が寒くなるものがあります。断る理由として、いちばん強いのがこの点です。

壊れていない瓦を外す細工

公表されている相談のなかに、こんな事例があります。

業者に壊れていない瓦を外す細工をされ、黙っているように指示されたというものです。災害で壊れたように見せかけ、保険金を引き出すための工作にほかなりません。

これに乗ってしまえば、家主も一緒に請求したことになります。

保険会社に黙っていてと言われたら

はっきりした危険信号があります。

自分たちの存在を保険会社に伝えないでほしい、と言われたら危ない相手です。やましいことがなければ、隠す必要はないからです。

この一言が出た時点で、契約せずに帰ってもらってください。

詐欺になる可能性がある

うその理由で保険金を請求すれば、詐欺にあたる可能性があります。

国民生活センターも、うその理由での請求は絶対にやめるよう呼びかけています。業者がやったことでも、請求するのは契約者本人です。

手数料を取られるだけでは済まない話になりかねません。

請求は自分でできます

保険金の請求は業者に頼まなくても加入者自身でできることを示すバナー画像

では、業者に頼まずどうすればよいのでしょうか。手順はとても簡単です。保険会社にいた立場から言うと、構えるほどのことは何もありません。

まず保険会社か代理店に電話する

最初にやることは、これだけです。

証券に書かれた番号に電話し、台風で屋根が傷んだようだと伝えてください。そこから先は、担当者が必要な書類や手順を案内してくれます。

難しい専門用語を使う必要はありません。

被害の写真を撮っておく

連絡の前後に、写真を撮っておくと話が早くなります。

全体が写った1枚と、傷んだ場所の近い写真の両方を残しておきましょう。日付がわかるとさらに良いです。

屋根に登るのは危ないので、下から撮れる範囲でかまいません。

鑑定人が確認に来る

損害が大きい場合は、保険会社から鑑定人が派遣されます。

専門家が現地を見て、災害による損害かどうかを判断します。業者の報告書があるかどうかで、この判断が変わることはありません。

つまり、手数料を払ってまで業者を挟む意味は薄いのです。

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契約してしまったときの相談先

困ったときは消費者ホットライン188と損保協会の相談ダイヤルに連絡できることを示すバナー画像

もう署名してしまった方も、あきらめないでください。相談を受け付けている窓口があります。どれも無料なので、ひとりで抱え込まないでほしいところです。

損保協会の専用ダイヤル

この問題のための窓口が用意されています。

窓口電話番号
保険金に関する災害便乗商法 相談ダイヤル0120-309-444
消費者ホットライン188
そんぽADRセンター03-4332-5241
保険金不正請求ホットライン0120-271-824
日本損害保険協会と消費者庁が案内している相談窓口

勧誘を受けた、契約を解除したいという相談を受け付けています。

消費者ホットラインは188

番号を覚えられないときは、こちらだけ記憶してください。

188に電話すると、近くの消費生活センターにつないでもらえます。いやや、と覚える3桁の番号です。

不安を感じた時点で、早めにかけたほうがよい結果になります。

クーリングオフができる場合

契約のしかたによっては、あとから解除できる場合もあるのです。

自宅への訪問で契約した場合は訪問販売にあたり、書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。できるかどうか判断がつかないときは、188に相談してください。

期限があるので、迷っている時間がもったいないです。

火災保険の申請代行のよくある質問

火災保険の申請代行に関するよくある質問をまとめたバナー画像

相談の現場でよく聞かれることをまとめました。気になる項目から確認してみてください。

申請代行そのものは違法なのか

サービスを直接禁じる法律はありません。ただ、消費者庁は2024年6月に、火災保険で実質無料で修理できるとうたう事業者について注意喚起を出しています。

無料点検だけ受けてもよいか

点検だけのつもりで業務委託契約書に署名してしまった事例があります。無料という言葉が出ても、その場で書類に署名しないでください。

経年劣化でも保険金は出るか

出ません。自然の消耗や劣化、さびによる損害は対象外だと損保協会が明記しています。古くなった家を無料で直せる制度ではありません。

何年も前の台風の分も請求できるか

請求できる期間は原則3年です。ただし請求期限が迫っていると急かす勧誘は、よくある手口なので注意してください。まず保険会社に直接確かめましょう。

自分で請求するのは難しいか

電話をすれば、必要な書類も書き方も教えてもらえます。水害のときの手順は家が浸水したら火災保険は出る?水災補償の落とし穴にまとめました。請求したのに出ないと言われたときは給付金が支払われないときにできることをご覧ください。

まとめ

自分の補償内容を知っておけばうまい話に揺らがないことを示すバナー画像

大事なところを振り返りましょう。

この記事のまとめ
  • 勧誘が増えるのは10月前後
  • 報酬は保険金の30から40パーセント
  • 工事をやめると違約金を求められることがある
  • 経年劣化やさびは保険金が出ない
  • 請求は加入者自身でできる
  • 困ったら188か0120-309-444

業者の話に乗ってしまうのは、自分の補償内容を知らないからです。何が対象で何が対象外かを先に知っておけば、うまい話にも揺らぎません。

証券が見当たらない方は、この機会に火災保険の見直しもあわせてどうぞ。地震による損害は地震保険の担当になります。

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