この記事は一般的な医療保険の考え方をもとにまとめています。給付の条件は商品によって異なり、治療法の保険適用も施設や時期で変わります。ご自身の契約は保険会社に、治療については医療機関にご確認ください。

子宮筋腫の手術をすすめられました。医療保険から出るでしょうか。

出ます。ただし選ぶ治療法によって、扱いが変わることがあります。
- 術式ごとの給付の扱い
- 切らない治療の落とし穴
- 入院日数で変わる金額
- 診断を受けたあとの加入
子宮筋腫の手術は、医療保険の給付対象になることがほとんどです。
ただし体に負担の少ない治療を選ぶと、出ないことがあります。知らずに決めてしまうと、あとで驚くことになります。
私は保険会社に約7年勤め、AFP(ファイナンシャルプランナー)として相談を受けてきました。術式ごとの違いをお伝えします。
子宮筋腫の治療にはいくつか選択肢がある

保険の話に入る前に、どんな治療があるかを整理しましょう。選ぶ道によって給付の結論が変わるので、ここを押さえておく必要があります。
まずは経過観察と薬
筋腫が見つかっても、すぐ手術とは限りません。
症状が軽ければ、定期的に大きさを見ていく経過観察になります。症状を抑える薬を使う方法もあります。
この段階では手術ではないので、手術給付金の対象にはなりません。
手術で取る方法が2つ
手術を選ぶ場合、大きく2つに分かれます。
子宮ごと取る全摘出術と、筋腫だけを取り除く核出術です。妊娠を望むかどうかで、選ぶ道が変わってきます。
どちらにも開腹や腹腔鏡など、いくつかのやり方があるのです。
切らずに治す方法もある
お腹を切らない治療法も広がっています。
子宮動脈塞栓術や集束超音波治療といった方法です。体への負担が軽く、入院も短くて済みます。
この選択肢が、保険の面では悩ましい問題を生むのです。
給付されるかは術式で変わる

医療保険の手術給付金は、受けた治療が約款の定義に当てはまるかどうかで決まります。約款には2つのタイプがあり、判断の仕方が違います。
手術料算定タイプは公的保険に連動
比較的新しい医療保険に多いのが、このタイプです。
公的医療保険で手術料が算定される診療行為を、そのまま給付の対象にします。つまり公的保険が効く治療なら、原則として給付されます。
逆に言えば、自費の治療は対象から外れるということです。
88種タイプは一覧に当てはまるか
10年以上前の契約に多いのが、こちらです。
約款に並んだ88種類の手術に当てはまるかどうかで判断します。子宮に対する手術は、この一覧に含まれているのが一般的です。
2つのタイプの違いは手術給付金の対象になる手術で解説しています。
全摘でも核出でも対象になりやすい
切って取る手術については、心配はほとんどいりません。
全摘出術も核出術も、どちらのタイプでも給付の対象になりやすい手術です。開腹でも腹腔鏡でも変わりません。
問題になるのは、このあとの切らない治療のほうです。
切らない治療は扱いが分かれる

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。体に優しい治療を選んだのに給付されない、ということが起こりえます。
子宮動脈塞栓術は保険診療
カテーテルで筋腫への血流を止める治療です。
2014年に使用する材料が承認され、公的医療保険の対象になりました。ただし学会が定めた施設や術者の要件があり、どの病院でも受けられるわけではありません。
保険診療として受けられれば、給付の対象になりえます。
集束超音波治療は自費のことが多い
超音波を一点に集めて筋腫を小さくする治療です。
子宮筋腫については、公的医療保険の対象外として自費で行われることが多いようです。費用は施設によって異なります。
保険が効くかどうかは、受ける施設に必ず確かめてください。
自費だと給付も出ない
公的保険が効かないと、民間の保険にも影響します。
手術料算定タイプの約款では、自費の治療は給付の対象になりません。高額療養費も使えないので、負担が二重に重くなります。
治療法を決める前に、保険会社に確認しておくと安心です。
入院日数で受け取る額が変わる

手術給付金が同じでも、入院給付金は日数で決まります。どのやり方を選ぶかで、受け取る合計額に差が出るのです。
開腹は1週間前後
お腹を大きく開く方法では、入院が長めになります。
目安は1週間前後ですが、筋腫の大きさや回復の具合によって変わります。日額5,000円の契約なら、入院給付金は3万円台になる計算です。
そこに手術給付金が加わるので、合計はもっと大きくなるでしょう。
腹腔鏡や子宮鏡は短く済む
内視鏡を使う方法だと、回復が早くなります。
腹腔鏡は開腹より短く、子宮鏡ではさらに短い入院で済むことがあります。体には優しい反面、入院給付金は少なくなるわけです。
入院の条件はその入院、保険は出るにまとめています。
一時金タイプなら日数に左右されない
最近の医療保険には、別の形のものもあります。
入院1回につき一時金を払うタイプなら、日数が短くても金額は同じです。短期入院が増えた流れに合わせた形です。
自分の契約がどちらの型か、証券で確かめておきましょう。
女性疾病特約があれば上乗せ

付けている方には、もうひとつ受け取れるものがあります。付けた覚えがなくても入っていることがあるので、確認してみてください。
女性特有の病気に手厚くする特約
女性に多い病気で入院したときに、日額を上乗せする特約です。
基本の入院給付金に、特約の分が足される形になります。日額5,000円の上乗せなら、1日あたり1万円を受け取る計算です。
保険料は数百円程度の商品が多く、負担はそれほど大きくありません。
子宮筋腫は対象になりやすい
対象になる病気は、約款に一覧で書かれています。
子宮筋腫が対象から外れることは、ほとんどありません。帝王切開や子宮内膜症なども含まれます。
帝王切開の計算は帝王切開で医療保険はいくら出るにまとめました。
別の給付が出ることもある
商品によっては、手術給付金とは別の給付が用意されていることがあります。
子宮を全部摘出した場合に、女性特定手術給付金といった名前で支払われるものです。扱いは商品ごとに大きく違うので、一般的とまでは言えません。
証券の特約欄を見て、分からなければ保険会社に聞いてみてください。請求もれが起きやすい部分です。
診断を受けてからの加入

ここからは、まだ医療保険に入っていない方に向けた話です。健診で見つかったあとだと、入り方が変わってきます。
告知が必要になる
加入のときには、健康状態を伝える告知が必要です。
子宮筋腫と診断されていれば、告知書で聞かれている範囲で答えましょう。隠して入ると、請求のときに支払われない可能性が出てきます。
告知のルールは告知義務違反はどうなるで解説しています。
部位不担保が付くことがある
告知した結果、条件が付く場合もあるのです。
子宮に関する部分だけを一定期間保障しない、という条件です。加入できないわけではありません。
期間や範囲は商品によって違うので、申し込む前に確かめましょう。
経過観察中でも伝える
手術をしていないから関係ない、とは考えないでください。
定期的に通院して様子を見ている状態も、告知の対象になることがあります。治療という言葉の範囲は、思っているより広めです。
迷ったら書いておくほうが、あとで困りません。
子宮筋腫と医療保険のよくある質問

相談の現場でよく聞かれることをまとめました。気になる項目から確認してみてください。
入院しない治療でも出るか
手術給付金は、入院を伴わなくても支払われる商品が多くあります。ただし入院していなければ、入院給付金は受け取れません。
再発して2回目の手術をしたら
同じ手術を繰り返す場合、60日に1回などの制限が付くことがあります。間隔が空いていれば、2回目も請求できるのが一般的です。
筋腫があると保険に入れないか
入れないとは限りません。条件が付く形で引き受けてもらえることが多く、商品によっても判断が分かれます。
高額療養費は使えるか
公的保険が効く治療なら使えます。1か月の自己負担に上限がかかるので、高額療養費制度とはもあわせてご覧ください。
何年前の手術までさかのぼれるか
約款では原則3年です。ただし必要な書類がそろえば、3年を過ぎていても請求できることがあります。
まとめ

要点を振り返りましょう。
- 全摘出術も核出術も対象になりやすい
- 子宮動脈塞栓術は保険診療で受けられる
- 自費の治療だと給付も出ない
- 入院が短いと入院給付金は少なくなる
- 女性疾病特約があれば上乗せされる
- 診断後の加入には条件が付くことがある
治療法を決める前に、保険会社に聞いておくのがいちばん確実です。手術の名前を伝えれば、対象になるかを調べてもらえます。
お金で治療を選ぶ必要はありませんが、知らずに選ぶのと知って選ぶのでは違います。

