給付金の取り扱いは、加入している保険の約款によって異なります。実際の請求の可否は、必ずご加入の保険会社にご確認ください。

両目の白内障手術を受けたのに、給付金が1回分しか出ませんでした。なぜでしょうか?

左右を同じ日に手術すると、1回の手術として扱われることがあります。手術日を決める前に知っておきたい話です。
- 白内障の手術をすすめられた人
- 両目の手術日をこれから決める人
- 多焦点レンズをすすめられた人
- 給付金の請求方法を知りたい人
白内障の手術は、多くの医療保険で手術給付金の対象になります。ところが、左右の手術を同じ日にするか別の日にするかで、受け取れる回数が変わることがあります。
私の身近な人も、この違いを知らずに両目を同じ日に手術しました。その結果、支払われた給付金は1回分だけで、本人はとても驚いていました。
私は保険会社に約7年勤め、AFP(ファイナンシャルプランナー)として請求の相談を受けてきた立場です。この記事では、請求の判断基準と手術日の決め方をお伝えします。
- 白内障手術が給付金の対象になる理由
- 左右同日と別日で変わる回数
- 多焦点レンズと選定療養の扱い
- 請求の手順と必要な書類
白内障手術は給付金の対象になる

まずは、白内障の手術が請求できるかどうかを整理しましょう。結論から言うと、多くの医療保険で対象になります。判断の分かれ目は、公的な医療保険の対象かどうかです。
水晶体再建術は公的保険の対象
白内障の手術は、水晶体再建術という名前で公的な医療保険の対象になっています。
眼内レンズを入れる一般的な手術は、片眼で12,100点(医療費で12万1,000円)です。3割負担の方なら、手術の部分は約36,300円になります。
診療明細書に水晶体再建術の記載があれば、給付金の対象になる可能性が高いです。
判断の基準は約款にある
給付金が出るかどうかは、加入している保険の約款で決まります。
最近の医療保険の多くは、公的医療保険の点数表で手術料が算定される手術を対象としています。白内障の手術はこれに当てはまるため、対象になるのが一般的です。
古いタイプの保険では、保険会社が独自に決めた手術の一覧を使っていることもあります。その場合は、一覧に入っているかどうかが分かれ目です。
日帰り手術でも請求できる
白内障の手術は、日帰りで受ける方が多くなっています。
手術給付金は入院の有無と関係なく支払われるため、日帰りでも請求できます。ただし、入院給付金は入院しなければ出ません。
日帰り入院として扱われるかどうかは、病院の請求の仕方によって変わります。明細書で確認しておきましょう。
左右同日と別日で変わる回数

ここがこの記事で一番お伝えしたいところです。両目の手術を受けるとき、手術日の決め方で給付金の回数が変わることがあります。知らずに日程を決めると、あとで驚くことになりかねません。
同じ日なら1回分になることが多い
左右を同じ日に手術すると、1回の手術として扱われることが多くあります。
私の身近な人は、通院の負担を減らしたくて同じ日に両目を手術しました。手術は無事に終わりましたが、給付金は1回分だけでした。
同じ日に複数の手術を受けたときの扱いは、同じ日に2回手術したら手術給付金は?1回分になる理由と例外で詳しく解説しています。
別の日なら2回分のことも
左右を別の日に手術すると、それぞれ別の手術として扱われることがあります。
| 手術の日程 | 給付金の回数 |
|---|---|
| 左右を同じ日に手術 | 1回分になることが多い |
| 左右を別の日に手術 | 2回分になることがある |
ただし、別の日にすれば必ず2回分になるわけではありません。次で説明する制限があります。
月1回や60日の制限に注意
医療保険には、同じ手術の支払い回数に制限があることがあります。
- 手術給付金は月に1回を限度とする
- 60日以内の同じ手術は1回とみなす
日程を決める前に、保険会社へ電話で確認するのが確実です。約款は保険会社や加入時期で違うためです。
多焦点レンズと選定療養の扱い

白内障の手術では、遠くも近くも見えやすい多焦点レンズをすすめられることがあります。このレンズを選ぶと費用が上がりますが、保険の扱いは少し複雑です。制度が変わった点も含めて整理します。
2020年4月から選定療養になった
多焦点レンズを使う手術は、2020年4月から選定療養という扱いになりました。
それまでは先進医療の対象でしたが、制度が変わって外れています。手術そのものは公的保険が使え、レンズの差額分を自己負担する形です。
この変更を知らないまま、先進医療特約を頼りにしている方が今も少なくありません。
先進医療特約は使えない
選定療養になったため、先進医療特約からの給付金は受け取れません。
一方で、手術そのものは公的保険の対象なので、手術給付金は通常どおり請求できます。特約は使えないが給付金は出る、という点を押さえておきましょう。
先進医療の対象になる治療については、自由診療との違いを手術給付金の対象になる手術・ならない手術でも説明しています。
レンズの差額は自己負担
多焦点レンズの差額そのものは、医療保険の給付対象になりません。
差額は病院ごとに決められており、金額にも幅があります。手術を決める前に、費用の見積もりをもらっておきましょう。
公的保険が使える部分は高額療養費制度の対象です。上限額は高額療養費制度とは?2026年8月の引き上げと新しい年間上限で確認できます。
請求の手順と必要な書類

請求は難しくありません。最近は診断書がなくても手続きできるケースが増えています。請求の現場で見てきた、スムーズに進めるためのコツもお伝えします。
診療明細書を必ず保管する
手術のあとに受け取る書類は、まとめて保管しておきましょう。
- 診療明細書
- 領収書
- 保険会社所定の請求書
診療明細書には手術の名前と点数が書かれているので、請求の可否を判断する材料になるはずです。
スマホで完結することも多い
最近は、書類を撮影して送るだけで請求できる保険会社が増えています。
診断書が必要な場合でも、少額の請求なら明細書で代用できることがあります。診断書は1通5,000円ほどかかるので、先に確認するほうがお得です。
必要な書類の全体像は、保険金・給付金の請求に必要な書類とは?にまとめています。
手術前に電話で確認する
中の人として一番おすすめしたいのが、手術の前に保険会社へ電話することです。
「白内障で水晶体再建術を受けます」と伝えれば、給付金の対象かどうかと、左右の日程による違いを教えてもらえます。日程を決める前の電話が、一番お金になります。
手術後に聞いても、日程はもう変えられません。この順番だけは間違えないでください。
白内障手術と保険のよくある質問

相談の場でよく聞かれることをまとめました。手術の前に確認しておくと安心です。
給付金はいくらもらえるか
入院日額をもとに決まる契約が多く、日額5,000円なら手術給付金は5万円前後が目安です。倍率は手術の種類や契約によって変わります。
ただし古い88種類タイプの保険だと、外来の手術でも20倍という設定があります。日額5,000円なら10万円です。古い保険の扱いは古い保険は解約していい?にまとめました。
新しいタイプは入院中なら20倍、外来なら5倍と分けている商品が多く、同じ白内障の手術でも受け取る額が変わります。
両目を別の日にすべきか
給付金だけで決めるのはおすすめしません。通院の負担や見え方の回復、家族の付き添いも含めて考え、そのうえで保険の扱いを確認しましょう。
多焦点レンズでも請求できるか
手術部分が公的保険の対象なので、手術給付金は請求できるのが一般的です。ただし、レンズの差額分は給付の対象になりません。
過去の手術も請求できるか
約款では原則3年と決められています。ただし必要な書類がそろえば、3年を過ぎていても請求できることがあります。心当たりがあれば、保険会社に確認してみてください。
県民共済でも対象になるか
共済にも手術の保障があり、白内障手術が対象になることがあります。回数の数え方は共済ごとに違うので、加入先に確認しましょう。
まとめ

白内障の手術は、請求できるのに知らずに損をしやすい手術です。要点をまとめます。
- 水晶体再建術は公的保険の対象
- 日帰り手術でも手術給付金は出る
- 左右同日は1回分になることが多い
- 別日でも月1回や60日の制限がある
- 多焦点レンズは2020年4月から選定療養
- レンズの差額は自己負担
手術日を決める前に、保険会社へ電話を一本かけてください。それだけで受け取れる金額が変わることがあります。

