この記事は一般的な医療保険の考え方をもとにまとめています。免除の条件や別表の番号は商品によって異なります。ご自身の契約については、約款と保険会社にご確認ください。

保険料免除の特約をすすめられました。付けたほうがいいでしょうか。

その前に、もう標準で付いている免除があるかもしれません。確かめましょう。
- 標準で付いている免除の条件
- 緩和型だけ条件が違うこと
- 追加する特約との違い
- 付けるべきかを数字で判断する方法
保険料免除と聞くと、追加で付ける特約だと思われがちです。
実は多くの医療保険には、はじめから免除の仕組みが入っています。知らないまま追加している方がいます。
私は保険会社に約7年勤め、AFP(ファイナンシャルプランナー)として相談を受けてきました。何が標準で、何が追加なのかを分けてお伝えします。
保険料免除とはどういう制度か

まず言葉の意味を整理します。似た制度と混同されやすいので、ここをはっきりさせておきましょう。
払わなくてよくなる仕組み
決められた状態になったとき、その後の保険料を払わなくてよくなる仕組みです。
30歳で加入した方が65歳で対象の状態になれば、それ以降の保険料は0円です。解約したわけではないので、契約はそのまま残ります。
収入が減ったときほど、ありがたい仕組みだと言えます。
保障はそのまま続く
よくある誤解がここです。
払わなくなっても、入院や手術の保障は続きます。免除されるのは保険料だけで、契約が終わるわけではありません。
払い込みが終わった契約と同じ状態になる、と考えると分かりやすいです。
給付金とは別のもの
もうひとつ、混同されやすい点があります。
免除になっても、お金が振り込まれるわけではありません。出ていくお金が止まるだけです。
一時金が受け取れる保障とは、まったく別のものだと考えてください。一時金が出る条件は三大疾病の一時金は本当に出る?にまとめました。
多くの医療保険には標準で付いている

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。追加するかどうかを考える前に、確かめてほしいことがあります。
特約を付けなくても入っている
引受基準緩和型をのぞく一般的な医療保険では、免除の仕組みが基本契約に含まれていることが多くなっています。
つまり、何も追加していなくても一定の条件で免除になるのです。特約を付けて初めて使える制度ではありません。
基本契約の内容なので、証券の特約欄には名前が出てきません。
病気なら高度障害状態だけ
病気が原因の場合、対象は高度障害状態に限られます。
両眼の視力を永久に失う、終身常に介護を要するといった極めて重い状態です。約款では別表3として定められています。
付いてはいても、該当することはまれだと考えておきましょう。
けがなら範囲が広くなる
不慮の事故によるけがの場合は、対象がぐっと広がります。
手指や足指を失った場合、脊柱に著しい運動障害が残った場合なども入ります。人工関節や人工骨頭を入れた場合が対象になることもあるのです。くわしくは人工関節を入れたら保険料は免除される?をご覧ください。
同じ免除でも、原因によってハードルがまったく違うわけです。
緩和型は条件が違う

持病があっても入りやすい引受基準緩和型は、扱いが変わります。同じ医療保険という名前でも、免除の条件が別なので注意が必要です。
対象は不慮の事故によるけがだけ
緩和型の場合、免除の対象はぐっと狭くなります。
不慮の事故によるけがで、180日以内に所定の高度障害状態または身体障害状態になったときに限られます。けがが起点である点が、一般の医療保険と大きく異なる部分です。
引受の条件をゆるくしているぶん、保障の範囲も絞られています。
病気による高度障害は対象外
違いを並べると、はっきりしてきます。
| 原因と状態 | 一般の医療保険 | 引受基準緩和型 |
|---|---|---|
| 病気で所定の高度障害状態 | 免除される | 免除されない |
| 事故のけがで180日以内に所定の状態 | 免除される | 免除される |
疾病で高度障害状態になっても、緩和型では免除されないと明記されています。持病の悪化で働けなくなっても、保険料は払い続けることになります。
加入前に必ず確認する
緩和型を検討しているなら、ここを聞いておきましょう。
保険料の免除はどういうときに使えますか、と尋ねれば答えてもらえます。一般の医療保険に入れるなら、そちらを先に検討する価値があるでしょう。
持病があるときの選び方は県民共済だけで大丈夫も参考になります。
三大疾病の免除特約は追加のもの

ここまでが標準の話です。それとは別に、追加で付けられる特約があります。すすめられるのは、たいていこちらです。
がんと心筋梗塞と脳卒中が対象
三大疾病の免除特約は、対象となる病気が決まっています。
がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3つです。これらで所定の状態になったとき、その後の保険料が免除になります。
標準の免除とは対象がまったく違うので、別のものと考えてください。
条件付きのことが多い
ここに落とし穴があります。
がんは診断確定で免除になる商品が多い一方、心筋梗塞と脳卒中は条件が付いていることが多くなっています。10日以上の入院や所定の手術、一定の後遺障害といった条件です。
軽症で短期入院だった場合、免除にならないこともあります。
病気になれば必ず免除ではない
名前だけを見ると、三大疾病なら必ず免除されそうに思えます。
実際には、どの状態まで進んだかで判断されるのです。契約する前に、支払事由の欄を必ず確かめてください。
がん保障の考え方はがん保険は必要にまとめています。
特約を付けるといくら違うか

では、追加する価値はあるのでしょうか。不安ではなく数字で考えてみます。30歳女性のある医療保険を例にします。
月に1,000円の差
まず毎月の保険料を比べてみましょう。
| 内容 | 月額保険料 |
|---|---|
| 医療保険のみ | 3,500円 |
| 医療保険と免除特約 | 4,500円 |
| 差額 | 1,000円 |
1か月では小さな差ですが、年にすると12,000円になります。
55年で66万円
平均寿命まで払い続けた場合を計算します。
30歳から85歳までの55年間で、総額66万円の差になります。何も起きなければ、それだけ多く払う計算です。
同じ額を積み立てれば、手元に66万円が残る計算です。
70歳でがんになったら
逆に、得になる場合も計算しておきます。
70歳でがんと診断され、その後15年間免除になったとします。4,500円の15年分で81万円です。
このケースなら確かに得になります。要は確率の問題です。
自分の契約を確かめる方法

判断する前に、いま何が付いているかを知る必要があります。手順は3つだけです。
証券の特約欄を見る
最初に見るのは、証券の特約が並んでいる欄です。
保険料払込免除という言葉があれば、追加の特約が付いています。なければ、標準の免除だけという状態です。
特約には保険料がかかっているので、金額も確かめておきましょう。
約款の別表を開く
標準の免除がどこまでかは、約款でしか分かりません。
保険料の払込免除という項目を探し、そこから指定されている別表を見てください。どういう状態が対象かが並んでいます。
約款が手元になければ、保険会社のサイトから見られることが多いです。
保険会社への聞き方
自分で読むのが大変なら、電話で聞けば十分です。
保険料が免除になるのはどういうときですかと聞けば答えてもらえます。標準の分と特約の分を、分けて教えてもらいましょう。
そのうえで、特約を残すかどうかを決めれば大丈夫です。
保険料免除のよくある質問

相談の現場でよく聞かれることをまとめました。気になる項目から確認してみてください。
免除されたら申告は必要か
自動では止まりません。対象の状態になったら、保険会社に連絡して手続きをする必要があります。
免除中に解約できるか
解約はできますが、もったいない選択になりがちです。払わずに保障だけ続く状態なので、持ち続けるほうが有利です。
あとから特約だけ外せるか
特約だけを解約できる商品が多くあります。保険料は下がりますが、再び付けられないこともあるので慎重に決めましょう。
生命保険にも同じ仕組みはあるか
死亡保険や学資保険にも、保険料免除の仕組みがあります。学資保険では契約者が亡くなった場合などが対象です。
免除されないと言われたら
約款のどの条項による判断かを聞いてみてください。納得できなければ、給付金が支払われないときにできることをご覧ください。
まとめ

要点を振り返りましょう。
- 多くの医療保険には標準で免除が付いている
- 病気は高度障害状態だけで条件が重い
- けがなら手指や人工関節も対象になる
- 緩和型は事故のけがだけが対象
- 三大疾病の特約は守る範囲が違う
- 55年で66万円の差になる計算
標準の免除と三大疾病の特約では、守る範囲がまったく違います。標準は極めて重い状態、特約はがんと診断された段階です。
重ねて払う価値があるかは、55年で66万円という数字と自分が該当する確率を並べて決めましょう。

