「もし病気やうつ病で長期間働けなくなったら、生活費はどうしよう…」
そんな不安から、「就業不能保険(働けなくなったときの保険)」を検討している方も多いのではないでしょうか。
今回は、この保険が「誰に必要なのか」、そして「本当に保険で備えるべきなのか」について分かりやすく解説します。
結論から先に言います。
「会社員の方には不要」と私は考えています。
そして、自営業・フリーランスの方は「1年分の生活費を貯金すること」をオススメします。就業不能保険を検討するのは、その貯金を用意するのが難しい場合“のみ”と考えます。
なぜそう言い切れるのか?その理由とについてお話いたします。
なぜ会社員には不要で、自営業は対策が必要なのか?
会社員に就業不能保険が不要な最大の理由は、「公的保険(国の制度)や会社の福利厚生が圧倒的に手厚いから」です。
会社員が働けなくなった場合、以下のセーフティネットが守ってくれます。
- 有給休暇(まずは給料を満額もらいながら休める)
- 傷病手当金(健康保険から、最長1年6ヶ月にわたり給与の約3分の2が支給される)
- 労災保険(仕事中のケガや病気なら、治療費無料+休業補償が出る)
- 障害厚生年金+障害基礎年金(障害が残った場合、手厚い年金が出る)
一方で、自営業やフリーランス(国民健康保険・国民年金加入者)はどうでしょうか?
残念ながら、自営業には有給もなければ、傷病手当金もありません。頼れるのは原則「障害基礎年金」のみとなります。
【比較表】会社員と自営業の「働けなくなった時」の保障の違い
両者の公的保障の違いを比較表にまとめました。
| 保障の種類 | 会社員(社会保険加入) | 自営業・フリーランス(国保・国民年金) |
|---|---|---|
| 有給休暇 | あり(給与100%) | なし(収入0円) |
| 傷病手当金 | あり(給与の約2/3が最長1年6ヶ月) | なし(収入0円) |
| 労災保険 | あり(業務上なら手厚く保護) | なし(※一部特別加入制度あり) |
| 障害年金 ※障害が残った場合 | 障害厚生年金 + 障害基礎年金 (1〜3級まであり、金額も手厚い。) | 障害基礎年金のみ (1〜2級のみ。重度でないと支給されない。) |
※モデルケース:月収30万円の人が半年間休職した場合
- 会社員:有給消化後、傷病手当金で月約20万円が受け取れる。
- 自営業:その間、公的な給付は「0円」。
この表の通り、自営業の方は働けなくなった瞬間に収入がストップするリスクが高いため、何らかの対策が必須となります。
働けなくなる原因の第1位は「精神疾患」
対策を考える上で、絶対に知っておくべき事実があります。
それは、就業不能状態になる原因の第1位は、ガンでも脳卒中でもなく「精神疾患(メンタルヘルス不調)」だということです。
ストレス社会の現代、うつ病や適応障害などで長期間働けなくなるケースは誰にでも起こり得ます。
精神科病院全体のデータを見ると、なんと「1年以上の長期入院患者が全体の約6割強」を占めています。
つまり、メンタル疾患は一度こじらせてしまうと数ヶ月では済まず、長期間に及ぶケースが非常に多いのです。
自営業の対策:まずは「1年分の生活費」を貯金しよう
では、保障の薄い自営業の人はどう備えるべきか。
「だから就業不能保険に入りましょう!」と言いたいところですが、一番のオススメは「1年分の生活費を現金で貯金しておくこと」です。
月の生活費が25万円なら、300万円。
これだけあれば、万が一長引くメンタル不調に陥っても、ひとまず1年間は焦らず治療に専念できます。
なぜ保険より「現金(貯金)」を強く勧めるのか?
それは、就業不能保険には「使い勝手の悪さ(デメリット)」があるからです。
【重要】就業不能保険の2つの大きなデメリット
現時点で1年分の貯蓄が難しく、どうしても保険を検討する場合は以下の注意点を必ず理解しておいてください。
①精神疾患が「対象外」の保険が多い
一番リスクの高い精神疾患ですが、多くの就業不能保険では「精神疾患は支払い対象外」とされています。これでは意味がありません。もし加入するなら、絶対に「精神疾患でも給付金が請求できる保険」を選択してください。
②「60日の免責期間」など、すぐにはお金がもらえない
就業不能保険は、働けなくなってすぐにお金がもらえるわけではありません。
多くの商品に「免責期間」があり、「60日」や「180日」などの継続した就業不能状態が続かないと請求できません。つまり、どんなに良い保険に入っても、最初の2ヶ月〜半年は自力(貯金)で生活する必要があります。
貯金であれば、どんな病気でも、休んだその日からすぐに生活費として使うことができます。だからこそ「まずは貯金」なのです。
まとめ
- 会社員:傷病手当金などの公的保障が手厚いため、就業不能保険は不要。
- 自営業:公的保障が薄いため対策は必須。しかし、まずは「1年分の生活費の貯金」を第一目標にすべき。
- 保険の検討:どうしても1年分の貯金を用意するのが難しい場合“のみ”検討する。
- 保険選びの注意点:必ず「精神疾患対応」のものを選び、「免責期間(60日など)」があることを理解しておく。
保険は万能ではありません。最も確実で最強のセーフティネットは「現金(貯蓄)」です。
まずはご自身の働き方や現在の貯蓄額を確認し、本当に毎月保険料を払う必要があるのか、見直すきっかけにしてみてくださいね!

