結論:無選択型保険はおすすめしません
先に結論を書くと、私は無選択型保険をおすすめしません。
理由はシンプルで、
- 原則、通常の保険より、保険料が高い。
- 契約後2年以内は死亡保険金500万円が出ない等、条件がついていることが多い。
- 平均寿命まで払うと保険料総額が保険金額を超える事が多い。
- 同じ金額をNISAで積み立てた方が、効率が良い。
からです。
もちろん、持病などの事情で通常の保険に入れない方にとって、無選択型保険は「最後の選択肢」になることがあります。
ただ、入りやすいからといって、お得な保険とは限りません。
今回は、50歳男性の具体例を使って、無選択型保険のメリット・デメリットと、NISAで積み立てた場合との違いをわかりやすく整理します。
無選択型保険とは?
無選択型保険とは、健康状態の告知が不要、またはごく簡単で加入しやすい保険のことです。
一般的な生命保険では、
- 持病がある
- 通院中である
- 過去に大きな病気をしている
といった理由で加入が難しくなることがあります。
その点、無選択型保険は健康に不安がある人でも入りやすいのが特徴です。
ただし、そのぶん保険料は高めに設定されていることが多く、保障内容にも注意が必要です。
今回比較する条件
今回は、次の条件で考えます。
- 契約年齢:50歳男性
- 保険種類:無選択型の死亡保険
- 死亡保険金額:500万円
- 月額保険料:18,880円
- 払込方法:終身払
- 条件:契約後2年以内の死亡は「既払込保険料相当額」
つまり、加入してすぐに亡くなった場合でも、最初の2年間は500万円満額が出るわけではないという内容です。
無選択型保険のメリット
まずはメリットから整理します。
1. 持病があっても入りやすい
最大のメリットは、やはりここです。
通常の生命保険に入れない人でも、無選択型保険なら加入できる可能性があります。
2. 保険の選択肢を持てる
保険に全く入れない状態に比べれば、最低限の死亡保障を持てるという意味では安心感があります。
3. 告知への不安がない
健康告知が不要、または簡単なので、申し込み時の心理的ハードルが低いのも特徴です。
無選択型保険のデメリット
一方で、デメリットはかなり重要です。
1. 保険料が高い
加入しやすいぶん、保険会社はリスクを見込んで保険料を高めに設定しています。
そのため、通常の保険と比べると割高になりやすいです。
2. 加入直後の保障が弱い
今回の条件では、契約後2年以内は死亡しても「既払込保険料相当額」しか受け取れません。
つまり、加入初期は500万円の保障がないのと同じです。
3. 長く払うほど負担が重くなる
終身払なので、生きている限り保険料負担が続きます。
長生きするほど総支払額は大きくなります。
4. コストに対して保障効率がよくない
数字で比べると、「かなり払うのに、受け取れる保障はそこまで大きくない」と感じるケースがあります。
平均寿命まで払うと、保険料総額はいくら?
50歳男性が、男性の平均寿命である81歳までこの保険を続けたと仮定します。
- 月18,880円 × 12か月 = 226,560円/年
- 226,560円 × 31年 = 7,023,360円
試算結果
平均寿命までの累計保険料は約702万円です。
一方、死亡保険金は500万円です。
つまり、平均寿命まで生きた場合、払込総額が死亡保険金を約202万円上回る計算になります。
ここが大きな注意点
月1万8,880円という決して安くない保険料を払っても、
加入後2年間は500万円の保障を持てません。
同じ18,880円をNISAで積み立てたらどうなる?
次に、同じ月18,880円をNISAで積み立てた場合を考えてみます。
ここでは、年率5%または8%で運用できたと仮定して試算します。
※実際の投資成果は変動します。元本保証ではありません。
500万円に到達する年齢の目安
50歳から毎月18,880円を積み立てた場合、
- 年率5%なら約65歳10か月
- 年率8%なら約63歳2か月
で、資産が500万円に達する試算です。
つまり、保険では毎月18,880円を払って「死亡時に500万円」ですが、
積立投資では、運用が順調なら60代前半〜半ばで自分の資産として500万円に届く可能性があります。
70歳・80歳時点で比較するとどうなる?
以下は、50歳から月18,880円を払い続けた場合の比較です。
前提
- 保険は終身払
- NISAは毎月積立
- 利回りは年率5%または8%で仮定
- 実際の投資成果は保証されません
比較表
| 項目 | 70歳時点 | 80歳時点 |
|---|---|---|
| 経過年数 | 20年 | 30年 |
| 保険料の累計支払額 | 4,531,200円 | 6,796,800円 |
| 保険の死亡保険金 | 5,000,000円 | 5,000,000円 |
| NISA積立評価額(年率5%想定) | 約7,760,000円 | 約15,690,000円 |
| NISA積立評価額(年率8%想定) | 約11,180,000円 | 約28,050,000円 |
比較してわかること
70歳時点
保険は約453万円払い、受け取れる死亡保険金は500万円です。
一方、NISA積立なら、
- 年率5%で約776万円
- 年率8%で約1,118万円
の試算になります。
80歳時点
保険料総額は約680万円まで増えますが、死亡保険金は500万円のままです。
NISA積立では、
- 年率5%で約1,569万円
- 年率8%で約2,805万円
という試算になります。
もちろん、保険は死亡保障、NISAは資産形成で、役割は違います。
ただし、今回の無選択型保険のように保険料が高く、初期保障も限定的な商品では、長期で見ると差がかなり大きくなります。
無選択型保険をおすすめしにくい理由
改めて、今回のケースでおすすめしにくい理由をまとめます。
理由1:加入初期の保障が薄い
最初の2年間は、死亡しても500万円ではなく既払込保険料相当額です。
保障としてはかなり物足りません。
理由2:保険料が高い
月18,880円は、家計にとって軽くない負担です。
しかも、その負担が終身で続きます。
理由3:平均寿命まで払うと総額約702万円
死亡保険金500万円に対して、保険料総額が702万円。
数字だけ見れば、効率がよいとは言いにくいです。
理由4:同額を積み立てた場合との差が大きい
同じ金額を長期で積み立てると、保険とは別の形で大きな資産になる可能性があります。
それでも無選択型保険が向いている人は?
ここまで読むと、無選択型保険は全く意味がないように見えるかもしれません。
でも、そうとは限りません。
例えば、
- 貯蓄がない
- 通常の生命保険に入れない
- どうしても死亡保障を持っておきたい
- 家族に最低限のお金を残したい
という事情があるなら、無選択型保険は最後の選択肢として検討する価値があります。
ただし、その場合でも、
「入りやすいから入る」のではなく、「高い保険料と限定的な保障を理解したうえで入る」ことが大切です。
まとめ:無選択型保険は「最後の手段」と考えたい
無選択型保険には、持病があっても入りやすいというメリットがあります。
しかし、その代わりに、
- 保険料が高い
- 契約後2年以内は満額保障ではない
- 長く続けるほど総支払額が大きくなる
- 同額を積み立てた場合と比べて見劣りしやすい
というデメリットがあります。
今回の試算では、50歳男性が月18,880円を払い続けると、
平均寿命までの累計保険料は約702万円。
それに対して死亡保険金は500万円です。
この数字を見る限り、無選択型保険は積極的にはおすすめしにくいと言わざるを得ません。
まずは貯蓄で準備。貯蓄が間に合わない部分だけ掛け捨ての死亡保障(定期等)で準備を検討するのがオススメです。

