死亡保険は終身保険と定期保険どっちがいい?子育て世帯は定期保険が合理的な理由
死亡保障を考えるとき、
「終身保険がいいのか、それとも定期保険がいいのか」
で迷う人は多いと思います。
結論からいうと、子育て世帯の死亡保障は、定期保険を中心に考える方が合理的です。
なぜなら、必要な死亡保障額は一生同じではなく、
子どもが小さい時期ほど大きく、子どもの独立後は考え方が変わるからです。
つまり、必要保障額のピークはずっと続くわけではありません。
だからこそ、必要な期間だけ大きな保障を持ちやすい定期保険が向いています。
今回は、具体的な家庭を例にしながら、
終身保険と定期保険の違いをわかりやすく見ていきます。
ケース設定
30歳・会社員・子ども2人の家庭
今回は次の家庭を想定します。
- 30歳男性
- 会社員
- 配偶者あり
- 子ども2人(1歳・3歳)
- 毎月の生活費:35万円
- 教育費:子ども1人あたり2,000万円
会社員であれば、万一のときには
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
を受け取れる可能性があります。
概算では、
- 遺族基礎年金:約10.7万円/月
- 遺族厚生年金:約5万円/月
- 合計:約15.7万円/月
です。
30歳で亡くなった場合、どれくらい不足するのか
30歳で亡くなった場合、生活費35万円に対して、公的遺族年金は約15.7万円。
差し引きすると、
- 約19.3万円/月不足
となります。
年間では約231.6万円。
下の子が18歳になるまで17年あるので、
- 231.6万円 × 17年 = 約3,937万円
の生活費不足です。
さらに教育費は、
- 2,000万円 × 2人 = 4,000万円
なので、単純計算では
- 3,937万円 + 4,000万円 = 約7,937万円
となります。
かなり大きめの試算ではありますが、
少なくとも子どもが小さい時期には、必要保障額が非常に大きいことがわかります。
40歳になると必要保障額はどう変わる?
次に、40歳時点を考えます。
このとき子どもは11歳と13歳です。
まだ子育て中ではありますが、30歳時点に比べると
子どもが独立するまでの残り年数は短くなっています。
毎月の不足額は同じく約19.3万円としても、
不足が続く期間は下の子が18歳になるまでの7年です。
- 19.3万円 × 12か月 × 7年 = 約1,621万円
教育費は引き続き大きいと考えて4,000万円とすると、
- 1,621万円 + 4,000万円 = 約5,621万円
です。
30歳時点と比べると、必要保障額はすでに下がっています。
50歳・60歳では必要保障の「中身」が変わる
50歳になるころには、子どもはすでに独立している前提です。
この時点では、30代・40代のように
- 教育費
- 養育費
- 子どもの生活費
を死亡保障でカバーする必要はありません。
必要になるのは主に、残された配偶者の生活費です。
ただし、ここから先は30代・40代とは考え方が変わります。
なぜなら、50代・60代では
- 妻自身の老齢基礎年金
- 妻自身の老齢厚生年金
- 預貯金
- 退職金
- 住宅ローンの完済
など、死亡保険以外で備える手段が増えるからです。
特に65歳以降は、妻自身の老齢基礎年金も見込みやすくなります。
たとえば老齢基礎年金を月約6.8万円とすると、65歳以降は
- 遺族厚生年金:約5万円
- 妻の老齢基礎年金:約6.8万円
で、合計約11.8万円/月の公的年金収入が見込めます。
そのため、50代・60代では、子育て期のような大きな死亡保障を民間保険で持ち続ける必要性は薄れていきます。
年齢別に見る必要保障額の推移
以下の表で、必要保障額の変化を整理してみます。
| 夫の年齢 | 家族の状況 | 教育費負担 | 毎月の不足額 | 将来の不足総額 | 必要保障額の総額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳 | 子ども1歳・3歳 | 4,000万円 | 約19.3万円 | 約3,937万円 | 約7,937万円 |
| 40歳 | 子ども11歳・13歳 | 4,000万円 | 約19.3万円 | 約1,621万円 | 約5,621万円 |
| 50歳 | 子ども独立後 | 0円 | 約19.5万円(65歳以降は約12.7万円) | 約7,320万円 | 約7,320万円 |
| 60歳 | 子ども独立後 | 0円 | 約19.5万円(65歳以降は約12.7万円) | 約4,980万円 | 約4,980万円 |
この表で注意したいのは、50歳以降は必要保障額の性質が変わるということです。
30歳・40歳では、死亡保障の中心は
子どもの生活費や教育費をどう確保するか
です。
一方、50歳・60歳では、教育費はなくなり、
主なテーマは配偶者の老後生活費になります。
つまり、数字だけを横並びで比較するのではなく、
「若い時は子育てのための保障」「50代以降は老後資金全体の中で考える保障」
と捉えるのが大切です。
終身保険と定期保険の保険料を比較するとどうなる?
ここで、実際の保険料例を見てみます。
終身保険
- 30歳契約
- 保険金額:1,000万円
- 月払保険料:26,270円
定期保険
もともとの例は500万円保障ですが、今回はわかりやすく
1,000万円保障に換算して比較します。
保険料は単純に2倍で見ます。
- 30歳契約:3,420円
- 40歳更新時:6,040円
- 50歳更新時:12,930円
同じ1,000万円保障でも、保険料差はかなり大きい
同じ1,000万円保障で比べると、
- 終身保険:26,270円
- 定期保険(30歳時):3,420円
差額は、
- 22,850円/月
です。
年間では、
- 274,200円
もの差になります。
つまり、子育て中に必要な大きな死亡保障を確保する手段としては、
終身保険より定期保険の方が圧倒的に家計負担を抑えやすい
ということです。
更新型の定期保険は保険料が上がる。でも、それでも合理的
定期保険は更新型だと、年齢とともに保険料が上がります。
- 30歳時:3,420円
- 40歳更新時:6,040円
- 50歳更新時:12,930円
確かに上がってはいきます。
ただし大切なのは、年齢が上がるほど本来必要な死亡保障額は変わっていくということです。
30代では大きな保障が必要でも、
40代では少しずつ見直し、
50代ではさらに保障の役割そのものを見直す段階に入ります。
つまり、更新型の定期保険は
必要な時期に必要な分だけ持つ
という考え方に合っているのです。
逆に、終身保険で最初から大きな保障を一生持とうとすると、
子育て中の家計に重い負担がかかりやすくなります。
終身保険がまったく不要というわけではない
もちろん、終身保険にも役割はあります。
たとえば、
- 葬儀費用を残したい
- 必ず残るお金を用意したい
- 相続対策として使いたい
といった目的には、終身保険が向いています。
ただし、子育て中の大きな死亡保障のメインとして考えるなら、
まずは定期保険の方が合理的なケースが多いでしょう。
まとめ
死亡保険は「一生いくら必要か」ではなく「いつまでいくら必要か」で考える
今回の例では、
- 30歳・子どもが小さい時期は、生活費だけでなく教育費の負担も大きい
- 40歳になると、必要保障額は少しずつ下がる
- 50歳・60歳では、子育て期のような大きな死亡保障は見直しやすくなる
- 同じ1,000万円保障でも、保険料は終身保険の方がかなり高い
という違いがありました。
つまり、死亡保障は
一生同じ額を持ち続けるよりも、その時々の必要額に合わせて備える方が合理的
です。
だからこそ、子育て世帯の死亡保障は
定期保険を中心に設計する
という考え方がしっくりきます。
終身保険は、葬儀費用や最低限残したいお金を準備するために、
必要に応じて組み合わせるのがよいでしょう。

